<新型コロナ>米感染者、にじむ経済格差 黒人の割合突出

2020年4月9日 02時00分

6日、米ニューヨークで、医療施設に運び込まれる呼吸器をつけた患者=AP

 【ニューヨーク=赤川肇】新型コロナウイルス感染者数が世界最多の米国で、黒人の感染率や死亡率の高さが明らかになってきた。背景に挙げられているのは、重症化につながりやすいとされる基礎疾患がある人の割合や、貧困率の高さ。新型ウイルスの世界的大流行は、経済格差などを生じさせる人種差別的な社会構造を浮き彫りにしている。
 「息をのむ数字だ」。中西部イリノイ州シカゴのライトフット市長は六日の記者会見で、市内人口の三割にすぎない黒人が新型ウイルスによる死者数の72%を占める現状を発表。「医療や仕事、地域投資の不平等を物語っている」と述べ、黒人集住地域への支援に乗り出す方針を示した。
 シカゴだけではない。イリノイ州全体で黒人比率は全人口の15%だが、州政府によると少なくとも感染者の28%、死者の43%を占める。南部ルイジアナ州では人口比33%の黒人が死者の70%に上る。黒人のほか、人口過密地域に住む中南米系移民の感染率の高さを指摘する報道もある。
 一方、最も感染者が多い東部ニューヨーク州や連邦機関の米疾病対策センター(CDC)は現時点で、新型ウイルスに関する人種別の統計を公表していないため、全米の状況は不明。ただ、アダムス米公衆衛生局長官は七日、CBSテレビで「米国の黒人は低い社会経済的地位に置かれやすい」と述べたほか、心疾患や糖尿病の罹患(りかん)率も挙げ、黒人の高リスクを指摘した。
 トランプ大統領は七日の記者会見で、黒人の新型ウイルス感染率の高さを「明白」と認め、数日中に全米の状況を公表すると表明。「良くないことだ」と述べたものの、対策の必要性には言及しなかった。
 CDCによると、米国の平均寿命(二〇一七年)は男性七六・一歳、女性八一・一歳。黒人は男性が四・二歳、女性が二・六歳それぞれ短い。

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