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不妊LINE相談、会社もサポート ベンチャー開発サービスを導入へ

社会

2018年9月4日 13時53分

LINEで不妊について相談できる「ファミワン」のサービス

 不妊治療の悩みを無料通信アプリLINE(ライン)で相談できるベンチャー企業のサービスを、大手を含む複数の企業が社員向けの福利厚生に活用しようとしている。同僚に知られたくない悩みを気軽に相談できる新たな窓口として注目されそうだ。 (神谷円香)

 このサービスは、妊活支援事業を手掛けるベンチャー「ファミワン」(東京都渋谷区)が今年三月、社名と同じ名称で提供を始めた。

 「ファミワン」のサイトから「LINEで友だち追加」に登録すれば誰でも利用でき、妊娠に関する質問項目の問診票に回答して送信すると、不妊治療に詳しい看護師ら専門家からアドバイスが届く。

 ここまでは無料で、月額三千九百八十円の有料版では、専用フォームや通話機能で専門家と直接やりとりして、さらに詳しく個別相談ができる。

 有料版には法人プランがあり、大手鉄道会社の小田急電鉄(新宿区)が今月十六日からの導入を決めたほか、コンサルティング会社「キャスレーコンサルティング」(渋谷区)が八月から年末まで試験的に導入している。他に約十社が検討中だ。

 小田急では昨年七月、人事部にダイバーシティ(多様性)推進担当を置き、仕事と家庭を両立できる福利厚生に力を入れている。社内制度で不妊治療に六万円分の補助を出すようにしたところ、二〇一七年度は約六十件の利用があり需要を実感した。

 人事部内でさらなるサポートについて話し合うと、「自分も不妊治療をしていた」と打ち明ける社員も。山口路子人事部課長は「相談したくてもどこに行けば…との声もある。困ったときに相談できる窓口を用意しようと考えた」と話す。

 サービスは性別を問わず社員とそのパートナーが任意で登録できる。利用実績を調べるため登録や相談件数は人事部が把握するが、誰が使ったかや相談内容は明かされない。ファミワンの石川勇介社長(36)は「どの会社でも当たり前のように妊活支援がある未来をつくりたい」と話す。

◆仕事と治療「両立難しい」

 不妊治療体験者らによるNPO法人Fine(東京都江東区)が、治療の当事者約5500人へのアンケートを基に今年初めてまとめた「不妊白書」によると、95.6%が「仕事との両立が難しい」と感じていた。

 理由は「急に、頻繁に仕事を休むことが必要」(71.9%)、「生理周期に合わせた通院が必要で通院日程を立てるのが難しい」(47.3%)など。上司に理解がなく、退職せざるを得なかったという声もあった。

 不妊治療のサポート制度が会社にあっても「治療していると知られたくない」と使わない人が約半数。企業に求めるサポートでは、「管理職や他の従業員への啓発」がトップの31.4%だった。

 アンケート結果を踏まえ、Fineは「不妊治療のためにキャリアを諦めることは、企業にとっても日本社会にとっても大きな損失」と指摘している。

(東京新聞)

 

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