XMenu

停戦望む難民ら注視 イエメン内戦、6日に和平協議

国際

2018年9月3日 朝刊

カイロ市内で8月下旬、左目の手術で除去した破片を友人に見せるヤーセル・セイフさん(右)=奥田哲平撮影

 【カイロ=奥田哲平】3年以上にわたり内戦が続くイエメンを巡る国連主導の和平協議が6日、対立するハディ大統領の暫定政権とイスラム教シーア派武装組織フーシ派が出席してジュネーブで開かれる。双方の不信感は根強く、停戦合意が実現するか不透明ななか、エジプトの首都カイロに逃れた難民らは、協議の行方を注視している。

 左目に眼帯をした暫定政権軍の兵士ヤーセル・セイフさん(34)が、一ミリほどの破片を見せた。七月の戦闘で地雷の爆発に巻き込まれ、両足はやけどの痕が残る。カイロ市内で左目に刺さった破片を除去する手術を受けたが、「先ほど医師に視力は戻らないと言われた」という。

 内戦は、暫定政権をサウジアラビアが、フーシ派をイランがそれぞれ支援し、中東で覇権を争う両国の「代理戦争」の様相も呈している。セイフさんによると、暫定政権側はサウジ主導のアラブ連合軍の空爆支援を受けるものの、フーシ派が敷設した地雷群に進攻を阻まれている。フーシ派は連日弾道ミサイルをサウジ領内に発射するなど停戦の機運は高まらない。

 セイフさんは、戦闘激化で勤務先の飲食店が閉店し、生活のため兵士になった。二人の弟は六月に戦闘で死亡しており、停戦合意を望むものの、「双方の家族に犠牲者がいる今となっては、もう遅い。部族社会のイエメンでは、報復をしなければならない。(私も)治療を終えたら前線に戻る」と語った。

 エジプト紙によると、カイロには母国を逃れた約二十万人のイエメン人が暮らす。南部アデンに家族を残して八月中旬に着いた飲食店従業員ザイドさん(29)は「下水が処理できず、医療サービスもなく、コレラで多くの人が亡くなっている。苦しんでいるのは一般市民。政権軍とフーシ派ともに譲歩が必要」と訴えた。

◆子どもら51人犠牲 サウジ主導連合軍、バス誤爆認める

 国連は、内戦が泥沼化したイエメンを「世界最悪の人道危機」と呼ぶ。人口2900万人のうち、3割近い840万人が飢餓に直面する。先月9日には北部サアダで、学校の課外活動のバスがサウジアラビア主導のアラブ連合軍に空爆され、子どもら51人が死亡。戦闘に巻き込まれて死亡した市民は6600人に上る。

 国連人権理事会の専門家グループは先月28日、連合軍は民間人を含む無差別空爆、フーシ派は拷問や少年兵の徴用と、双方が「戦争犯罪を犯している可能性がある」とする報告書を公表。国際的な非難を受けて連合軍は1日、バス空爆について誤爆だったと認め、担当者の責任追及と犠牲者への賠償を約束した。

 国連の和平協議は停戦と決裂を繰り返し、2016年以降開かれていない。イエメンのニュースサイト「アルハダス」のナビーラ・ハキーム編集長(カイロ在住)は「双方とも停戦と和平実現を望むが、具体論になると妥協しない。後ろ盾となるサウジやイランを交えない協議では政治解決を見いだせないだろう」と悲観的だ。(カイロ・奥田哲平)

 

この記事を印刷する