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中国、ASEANと合同演習 南シナ海行動規範草案 10月、広東沖で

国際

2018年8月20日 朝刊

 【バンコク=北川成史】東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が、南シナ海での紛争防止に向け今月上旬のシンガポールでの外相会議で承認した「行動規範」の草案に、ASEANと中国の「合同軍事演習の実施」が盛り込まれていたことが分かった。中国が信頼醸成策の一つとして提案、内容は今後、関係国が詰めていくが、提案に沿う形で、十月二十二〜二十八日、中国・広東省沖での合同演習の実施が決まった。

 本紙が入手した草案によると、中国はさらに、事前の通知や合意がない限り、関係国が日本や米国など「域外国」と演習しないことも要求。日米などの影響力を排除しようとする中国の狙いが鮮明に表れている。

 草案の信頼醸成に関する条項には、ASEAN加盟十カ国の一部と中国の提案がそれぞれ列記されている。

 南シナ海を巡っては、中国とベトナム、フィリピンなどが領有権を主張。「行動規範」は法的拘束力があるかどうかが最大の焦点だが、草案には拘束力については盛り込まれていない。

 ベトナムは法的拘束力を行動規範に盛り込むよう求めているが、中国が反対。経済圏構想「一帯一路」のもと、中国は経済支援で東南アジアへの影響力を拡大している。ベトナムと並び対中で強硬姿勢だったフィリピンの提案は「伝統的な漁業の権利の尊重」にとどまるなど、態度が軟化している。

 フィリピン海軍の高官は今月十七日、中国・広東省沖での合同演習は、捜索救助と、他国の戦艦と遭遇した場合の衝突回避の訓練が中心になると報道陣に話した。

 行動規範の策定期限は定まっていない。ASEANが一枚岩ではない中、中国は日米をけん制しつつ時間を稼ぎ、南シナ海の軍事拠点化を進めるとみられる。

 中国の動きに対し、米国は今月上旬のシンガポールでのASEAN関連会議の際、インド太平洋地域の安全保障を進めるため、約三億ドル(約三百三十億円)を拠出すると表明。中国と米国がASEAN諸国を巻き込みながら、南シナ海を舞台に、安全保障戦略を競う様相が一層強まっている。

 

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