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リラ急落でトルコ政権 欧州と関係改善模索

国際

2018年8月20日 朝刊

 【カイロ=奥田哲平】米国人牧師の拘束問題を発端に米・トルコ関係が悪化し、トルコ通貨リラが急落した問題を受け、トルコが欧州との関係改善に動きだしている。エルドアン大統領の強権政治が目立つにつれ、近年は欧州連合(EU)と反目し合う場面が多かったが、最大の貿易相手であるEUの支援を確保する狙いがありそうだ。 

 AFP通信によると、エルドアン氏は十六日、マクロン仏大統領と電話協議し、貿易拡大や投資促進を図るため近く財務相会談を開くことで一致した。十五日にはメルケル独首相とも電話協議。メルケル氏は、トルコ経済の混乱収束に向けて協力する考えを示し、九月下旬にエルドアン氏が訪独することで合意した。

 トルコは二〇一六年七月のクーデター未遂事件以降、批判勢力やメディアを弾圧。公務員ら十五万人以上を追放し、五万人以上を拘束した。憲法改正による大統領制移行で強力な権限を手に入れたエルドアン氏に対し、人権重視のEUが懸念を深めていた。トルコのEU加盟交渉は事実上頓挫している。

 リラ急落の要因である対米関係は改善の兆しが見えず、トルコ経済は物価上昇で不安定な状況が続きそうだ。そうした情勢を見越してか、トルコの裁判所は十五日、今年三月にスパイ容疑で拘束されたギリシャ兵士二人の釈放を認め、クーデター未遂に関与した疑いで拘束中だった国際人権団体アムネスティ・インターナショナル・トルコ支部長の釈放も命じた。

 これらの動きに、EUのユンケル欧州委員長は「民主的で安定し、繁栄するトルコが見たい」と歓迎した。トルコはEUの四番目の輸出先で、欧州の銀行はトルコに対する債権を保有。通貨下落が進めばトルコからの返済に支障が出かねない。EUは、すでに米国のイラン核合意離脱に伴う経済制裁という難題を抱えているだけに、トルコの安定を優先したいところだ。

 

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