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反戦 PKO拡充 アナン氏死去 初の生え抜き総長

国際

2018年8月19日 朝刊

 【ニューヨーク=赤川肇】コフィ・アナン元国連事務総長(80)が亡くなった。国連生え抜きの職員として初めてトップに上り詰め、ノーベル平和賞を受賞するなど「ザ・国連」(グテレス現事務総長)と評される輝かしい功績。その一方で、自身の親族も渦中にあった国連の不正疑惑で対応の消極姿勢を批判されるなど影も背負っていた。

 主導した政策の一つが、事務総長就任前から関わってきた国連平和維持活動(PKO)の拡充。一九九〇年代にルワンダなどで相次いだ大虐殺を防げなかったことを教訓に、当事国で国連などが軍事介入する「人道的介入」を推し進めた。

 「(紛争当事国の)国家主権そのものだけをもって、人権や人道危機のための行動の妨げにはならない」。九九年の国連総会ではこう主張し、国際社会が「責任」を果たす重要性を問い掛けてきた。

 反戦への姿勢はかたくなだった。米国が国連を無視してイラク戦争を始める前年の二〇〇二年九月の国連総会。軍事行動も辞さない構えを明確にした当時のブッシュ米大統領(子)に対し、アナン氏は「自衛権行使を超えた武力行使ができるのは国連以外に存在しない」とけん制。米国とのあつれきは強まり、〇六年の退任直前までブッシュ批判を繰り返した。

 退任後はシリア問題で国連とアラブ連盟の合同特使を務め、欧米と中国・ロシアの対立で機能不全に陥った安全保障理事会を「政治的対話を重視しようとしない国があり、全く意味をなさない。何も試みるなと言っているのと同じだ」と批判した。

 一方、事務総長在任中、アナン氏自身にも疑いの目が向けられたのが、国連がイラクの旧フセイン政権下で実施した人道支援事業「石油・食料交換計画」(九六〜二〇〇三年)を巡る不正疑惑だった。

 国連高官の収賄のほか、アナン氏の長男への不透明な資金提供も発覚。独立調査委員会の調査は、アナン氏本人の関与を示す決定的証拠は見つからなかったと結論づけたが、疑惑への対応を「リーダーシップを発揮しなかった」と指摘。アナン氏は「私個人への批判を受け入れる」と釈明に追われ、本人や国連組織の求心力低下を招いた。

◆イラン外相「正義の擁護者」

 【テヘラン=共同】イランのザリフ外相は十八日、アナン氏について「傑出した指導者であり、平和と正義、法の支配の擁護者だった」と悼んだ。ツイッターに投稿した。アナン氏は生前、イラン核合意を「苦労し手にした外交成果」として合意維持を訴えていた。

 国営イラン通信は十八日、アナン氏が核合意の参加国に合意を守るよう求めていたと紹介。トランプ米大統領が五月に合意からの離脱表明後、アナン氏が「米国の離脱決定は極めて残念。中東の緊張激化を回避するよう(全参加国に)求める」とコメントしていたことに言及した。

 

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