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カンボジア総選挙 与党が全125議席独占 事実上の一党独裁に

国際

2018年8月16日 朝刊

 【バンコク=北川成史】七月二十九日に投開票されたカンボジア総選挙(下院選)で、選挙管理委員会は十五日夜(日本時間同)、公式結果を発表した。フン・セン首相率いる与党カンボジア人民党が全百二十五議席を独占した。最大野党カンボジア救国党を排除した選挙の結果、事実上の一党独裁が確定した。

 選挙は比例代表制で、結果発表によると、有効投票約六百三十六万票のうち人民党が76・85%(約四百八十九万票)を占め、二位はフンシンペック党の5・89%(約三十七万票)。ただ、無効票が約五十九万票で同党を上回り、投票総数の8・55%に上った。投票率は83・02%で、前回二〇一三年の69・61%から大幅上昇した。

 フン・セン氏は九月五〜六日に国会を招集し、組閣すると表明している。

 前回の得票率は人民党の48・83%に対し、救国党が44・46%と拮抗(きっこう)した。だが昨年、警察が救国党の党首を国家反逆容疑で逮捕し、最高裁判所が解党を命じた結果、総選挙は人民党以外は弱小政党ばかりになった。人民党は救国党不在の二月の上院選でも国王選任などの四議席を除く改選五十八議席を独占している。

 今回の高い投票率について救国党を支持するプノンペンの男性公務員(36)は「私以外にも棄権者が何人もいる。おかしい」と疑問をあらわにする。一九七〇年代、極端な共産主義を掲げ国民を虐殺したポル・ポト政権を念頭に「また独裁に戻る。国際社会の制裁も心配だ」と顔を曇らせた。

 上院選後、既に米国はカンボジア政府や軍への支援縮小を発表。総選挙でも欧米は支援を取りやめた。

 一層の支援縮小の可能性が強まる中、フン・セン政権は選挙の正当性のアピールに躍起だ。中国やロシア、ベトナム、ラオスなどから祝意があったという。

 タイ・ナレースワン大のポール・チェンバース講師(国際関係)は「民主主義の伝統のない国々がカンボジアから経済的利益を得るため、フン・セン氏にすり寄っている」と指摘する。

 米オクシデンタル大のソーパール・イアー准教授(国際問題)は「説明責任の欠如、個人崇拝、民主主義の消滅、人権侵害。一党支配に伴う全てを懸念する。フン・セン政権下で権力の抑制と均衡が壊されてきたのが大惨事の原因だ」と危機感を募らせた。

 

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