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イタリアで移民狙った犯罪急増 陸上代表選手も標的に

国際

2018年8月8日 朝刊

 【パリ=竹田佳彦】極右政党「同盟」とポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」の連立政権が六月に発足したイタリアで、アフリカ系の移民らを狙った犯罪が相次いでいる。「同盟」書記長のサルビーニ副首相は、移民排斥の発言を繰り返し、排外主義的な雰囲気の広がりを懸念する声が上がっている。

 ANSA通信によると、七月二十九日深夜、北部トリノ近くの街で、両親がナイジェリア出身のデイジー・オサクエさん(22)が車に乗った二人組の男に生卵を投げ付けられ、目を負傷した。オサクエさんは陸上競技・円盤投げのイタリア代表選手。手当て後、現地テレビの取材に「アフリカ系だから狙われたとしか考えられない」と訴えた。

 同日夜には首都ローマ近郊でも、モロッコ人の男性(43)が死亡した。窃盗犯だと思ったイタリア人の男三人に暴行されたとみられる。七月には北部の街ビチェンツァでも西アフリカ出身の移民男性二人が空気銃などで撃たれた。シチリア島ではセネガル出身の少年(19)が集団暴行される事件も起きた。

 事件を受けて、左派「自由と平等」のフォルナロ議員は「社会の不寛容で人種差別的な雰囲気を助長している」と、サルビーニ氏に批判の矛先を向けた。マッタレッラ大統領は、外国人への憎悪を煽(あお)るヘイト・スピーチや人種差別的な先入観への対策が急務だとして「誰でもライフル銃を買え、バルコニーから撃って子供を傷つける西方の国に似てはいけない」と、暗に米国を批判しつつ、警鐘を鳴らした。

 国連難民高等弁務官事務所は七月三十日、「移民や難民申請者、外国出身のイタリア人らに対する攻撃の増加を深く憂慮する」との声明を出した。

 

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