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北に配慮 ARF議長声明 「不可逆的な非核化」明記なし

国際

2018年8月7日 朝刊

 【バンコク=北川成史】東南アジア諸国連合(ASEAN)各国や日本、米国、北朝鮮などが参加してシンガポールで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議の議長声明が六日発表された。北朝鮮の核問題をめぐり日本が主張し、声明草案には盛り込まれていた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言は明記されず、「完全な非核化」という表現にとどまった。

 同日発表されたASEANプラス3(日中韓)外相会議とASEAN各国と日米など計十八カ国の東アジアサミット外相会議の議長声明は、ともにCVIDへの関与を表明。ARF参加国の北朝鮮への配慮が鮮明になった。

 ARFなど三つの議長声明は、四〜六月の韓国と北朝鮮の南北首脳会談と米朝首脳会談を歓迎。ただ、非核化を巡り、ARFの声明だけが「朝鮮半島の完全な非核化をもたらす国際努力への関与」にとどまり、CVIDには踏み込まなかった。

 また、ARFの声明だけが「拉致問題」という文言を入れず、「一部閣僚が人道上の懸念を含む問題の解決のため、北朝鮮と対話する用意を表明した」という表現に抑えた。四日のARFの会議で北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相は、北朝鮮への制裁継続を呼び掛け、朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)の終戦宣言に応じない米国を批判。CVIDが盛り込まれた声明草案に強く反発したことから、北朝鮮との摩擦を避けたとみられる。

 南シナ海問題について、ARFと東アジアサミットの声明は、ASEANと中国が紛争防止のための「行動規範」の草案に合意した点を明示しつつ、名指しを避けながらも「一部閣僚が表明した懸念に留意した」と軍事拠点化する中国をけん制した。

 一方、ASEANプラス3の声明では「海洋安全保障における協力強化」への期待を表したが、「南シナ海」の文言は入っていない。

 南シナ海で「航行の自由作戦」を展開し中国を警戒する米国は加わっておらず、中国の意向が強く作用したとみられる。

 

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