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米の移民政策 引き離し親子3カ月ぶり再会「娘もう離さない」

国際

2018年7月29日 朝刊

3カ月ぶりに再会し、ニューヨーク市郊外の親類宅に身を寄せるタニアさん(右)と長女マデリンちゃん

 不法入国した親子を別々に収容するトランプ米政権の移民政策により引き離された中米グアテマラ出身の親子が、裁判所の政策差し止め命令を受け、約三カ月ぶりに再会を果たした。「娘はもう離さない」。ニューヨーク市郊外の親類宅に身を寄せる母親が、米国を目指した経緯や生き別れの苦悩を語った。 (ニューヨーク・赤川肇、写真も)

 タニア・サルグエロ・ペレスさん(21)は四月下旬、長女マデリンちゃん(4つ)を連れてメキシコ国境から米アリゾナ州に入った。

 グアテマラの自宅を出て二週間。三千キロの道のりだった。「コヨーテ」と呼ばれる密入国あっせん業者に頼ったが、途中で武装集団に拉致、暴行された。「見たこともない大きな武器を持っていた」。コヨーテが金を払って解放された。

 越境後間もなく、米当局者に拘束された。難民申請の意思を伝えると「子どもと離れ離れになるのに、なぜ来たのか」と笑われた。

 「娘を守るためだった」。離婚した元夫と資産家の義母は娘の親権を主張し、強引に連れ去ろうとした。地元警察は夫と親しく、頼りにならない。「通報すれば自分たちの身が危なくなる」ため、地元を離れるしかなかったという。

 娘との別れは拘束の三日後。「すぐ会えるよ」と、駄々をこねてシャツをつかむ娘の手を離した。当局に抵抗しなかったのは、他の親が「子どもと離すなら一緒に強制送還にして」と泣き叫んでも、聞き入れられないのを見ていたからだ。

 それから娘の安否すら分からず「毎日が悪夢だった」。初めて電話で声を聞けたのが一カ月半後。電話口で泣きじゃくる娘を「仕事が終わったら迎えに行くから」と諭した。収容施設では十五分で三ドル(三百三十円)の電話代が必要。手持ちは十ドルしかなく、施設内の皿洗いなど「八時間座らず働いて一ドル」の仕事でお金を稼いだ。

 再会は七月十日。米西部サンディエゴの連邦地裁は六月二十六日、五歳未満の子は十四日以内に親と再会させるよう政府に命令。その期限だった。「もうどこにも行かないで」と抱きついた娘の手には、にっこり笑う「ママ」の絵があった。

 タニアさんの左足には「アンクルモニター」と呼ばれる発信機が取り付けられている。当局が行動を監視するためだ。今後、在留資格を得られるかは分からない。認められたら、清掃員として働き、娘の夢に付き合うのが「夢」という。

 

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