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中東続々「プーチン詣で」 米混乱に乗じロシアが影響力

国際

2018年7月13日 朝刊

 【モスクワ=栗田晃】ロシアのプーチン大統領は十六日、フィンランドの首都ヘルシンキで、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で欧州との結束が不安視された米国のトランプ大統領と会談する。プーチン氏は十一日、モスクワでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、シリアに駐留するイランの軍事勢力撤退について要望を受けた。十四日にはパレスチナ自治政府のアッバス議長とも協議予定。トランプ政権の中東政策が生んだ混乱に乗じ、ロシアの影響力を誇示している。

 「われわれはシリアで起きていること、イランの存在に焦点を置いている」。会談冒頭、そう切り出したネタニヤフ氏に、プーチン氏は「あなた方の懸念は知っている」と応じた。

 米国がイラン核合意からの離脱を表明した五月以降、イスラエル占領地のゴラン高原では、イランとイスラエルの軍事的対立が激化。イスラエル高官はロイター通信の取材に対し、ネタニヤフ氏が会談で、ロシアが後ろ盾となっているアサド政権の存続を容認する代わりに、イランがシリアから撤退するよう圧力をかけることを求めたと明かした。

 タス通信によると、プーチン氏は十二日、イラン最高指導者ハメネイ師の外交顧問とも会談。ロシアはイランに対し、ゴラン高原から八十キロ離れた地点まで撤退するよう提案しているとされ、意見調整したとみられる。イラン側はハメネイ師、ロウハニ大統領が米国の核合意離脱を批判した内容の親書を手渡し、プーチン氏に米ロ首脳会談での対応を託した。

 プーチン氏は十四日、パレスチナ自治政府のアッバス議長と、米国の在イスラエル大使館のエルサレム移転について協議するとみられる。中東の対立勢力による相次ぐ「プーチン詣で」は、トランプ政権の中東政策がイスラエル偏重でバランスを欠き、調整役としてロシアの存在感が増大した状況を浮き彫りにしている。

 ロシアの中東政策に詳しいロシア科学アカデミー欧州研究所のアレクサンドル・シュミリン氏は「米国とイスラエルはイランへの脅威を共有し、米ロ首脳会談でも、イランのシリア撤退と引き換えにした、アサド政権容認の可能性は協議されるだろう。会談の成果とするため、今後の方向性を打ち出す合意があるかもしれない」と指摘する。

 

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