XMenu

核廃絶NGO、平和賞 禁止条約実現に貢献 日本から7団体参加「ICAN」

国際

2017年10月7日 朝刊

「ICAN」のノーベル平和賞が決まり、参加団体として会見するピースボートの吉岡達也共同代表(右から2人目)ら=6日、東京都新宿区で(神代雅夫撮影)

 【ロンドン=沢田千秋】ノルウェーのノーベル賞委員会は六日、二〇一七年のノーベル平和賞を、スイス・ジュネーブに拠点を置く国際非政府組織(NGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン)=International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)に授与すると発表した。ICANは平和や軍縮、人権などの問題に取り組む約百カ国の約四百七十団体で構成し、日本からはNGOピースボートなど七団体が参加。史上初めて核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の制定を目指して広島や長崎の被爆者と連携し、今年七月の国連での条約採択に貢献した。

 ベーリット・レイスアンデルセン委員長は授与の理由を「核兵器使用による壊滅的な人道被害に警鐘を鳴らし、このような兵器を禁じる条約成立に革新的な努力をした」と説明。「核兵器使用のリスクはこれまで以上に高まり、北朝鮮のように核開発を行う危険な国もある。地球上の人類と生命への深刻な脅威」と指摘した。ICANは六日、受賞決定を「非常に光栄。広島、長崎の被爆者や世界の核実験被害者と共に与えられたものだ」とする声明を発表した。

 ICANは一九八五年の平和賞受賞団体「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」が提起してオーストラリアで二〇〇七年に発足。ICANの中核的な役割を担う国際運営委員にはピースボートの川崎哲(あきら)共同代表(48)が就いている。

 核兵器禁止条約は国連で百二十二の国と地域の賛成で採択された。しかし米国、ロシア、英国など核兵器保有国や米国の「核の傘」の下にいる日本や韓国は参加しなかった。

 委員長は「今の禁止条約だけでは一つの核兵器も排除できない。核なき世界の実現を目指す次のステップには核保有国を巻き込むべきだと強調したい」と、この平和賞が条約不参加の国々への呼び掛けであるとした。

 北朝鮮については「(核兵器をなくす)機運が高まれば核の廃絶や不使用について全ての国の行動に影響すると思う」と強調した。

 授賞式は十二月十日、オスロで開催。賞金九百万スウェーデンクローナ(約一億二千四百万円)が贈られる。

◆連携 被爆者の声伝え

 ICANに日本から参加するのは、NGO「ピースボート」(東京都新宿区)、同「ヒューマンライツ・ナウ」(台東区)、同「平和首長会議」(広島市)、「核戦争防止国際医師会議日本支部」(同市)、「反核医師の会」(東京都渋谷区)、「創価学会インタナショナル」(新宿区)、芸術家グループ「Project NOW!」(広島市)の七団体。非核・平和運動の担い手として国内外で活動している。

 このうち中核の活動を担ったのが、ピースボートだ。同団体共同代表の川崎哲さんは、ICANでも二〇一四年まで共同代表も務めるなど、〇七年のICAN創設時から中心メンバーとして活動に関わってきた。

 〇八年、世界一周する船に被爆者を乗せて各国を巡るピースボートの「おりづるプロジェクト」が始まると、川崎さんはICANのネットワークを生かし、渡航先で延べ百カ国の首脳や議員を招き証言会を開催。百七十人以上の被爆者の声を届ける活動を担った。

 川崎さんは六日、「条約の重要性を公認するこの賞は、いまだに条約に署名・批准していない政府を後押しすることになるでしょう」と談話を出した。

 ニューヨーク事務所で各国政府に条約締結を働き掛けてきたヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は「核兵器の廃絶は非現実的なものだとみられていた。条約がもうすぐ発効という状況での受賞は現実的な選択肢として評価され、テーブルに上ってきたことの表れではないか」と話した。 (原尚子、宮尾幹成)

 

この記事を印刷する