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文豪の足跡記す 街歩き冊子発行 森鴎外記念会・倉本事務局長

東京

2018年9月3日

街歩きのコースを冊子にまとめた倉本幸弘さん=台東区で

 文豪・森鴎外(1862〜1922年)を研究している「森鴎外記念会」(事務局・文京区)が、鴎外ら文学者の軌跡をたどる街歩きの冊子を発行している。倉本幸弘事務局長(66)が執筆・編集を担い、これまで2冊を刊行、現在は3冊目を準備中だ。倉本さん独特の目線から街へと誘う。 (中村真暁)

 二〇一六、一七年発行の二冊のコースは、いずれも鴎外が半生を過ごした「観潮楼(かんちょうろう)」(同区千駄木)跡に立つ区立森鴎外記念館が起点。一冊目の「観潮楼から芝、明舟町へ」は、鴎外が実際に歩いたと考えられる港区虎ノ門までの約六・五キロをたどる。続く「団子坂から谷中・上野へ」は、鴎外の小説「青年」の舞台となった上野や谷中(台東区)など、直径一キロほどのエリアを巡る。

 地域ゆかりの文学作品の場面や文学者のエピソードが盛り込まれており、「団子坂−」では、夏目漱石(一八六七〜一九一六年)の「三四郎」の主人公が団子坂(千駄木)を下って行くと説明。その様子は、鴎外の小説「団子坂(対話)」でも触れられていると紹介、小説の該当部分を引用して載せた。東京芸術大(台東区上野公園)を取り上げたページには、鴎外の講義を聴講した詩人の高村光太郎(一八八三〜一九五六年)による回想を掲載している。

 もともと、街歩きが好きな倉本さん。目的もなく歩いていると、目に留まった風景や建物から、文学作品などの知識が自然と頭に浮かんでくるという。

 冊子はそんな情報が満載で、細かな地図をあえて載せず、倉本さんが見た物、感じたことを文章と写真で表現した。「歩き方を押し付けたくない。自分の感性を大事にしてほしい。歩いてみて、東京はこんなに面白く、美しいところだったんだと感じてもらえれば」と倉本さんは話す。

 三冊目は、鴎外記念館から、奥浅草の台東区立一葉記念館に至るコースを予定している。シリーズのタイトルは「森鴎外記念会事務局長さんの散歩案内−東京は小さい、だから歩いてみよう−」。「観潮楼−」が十一ページ、コピー代として百五十円、「団子坂−」が十七ページ、百七十円。森鴎外記念館で扱っている。

 

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