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絵画で伝える東京湾の海苔作り 大田で企画展 広重作品など20点紹介

東京

2018年7月22日

海苔作りが描かれた浮世絵や版画を鑑賞する来館者=大田区で

 江戸時代中期から300年続いた東京湾の海苔(のり)の養殖を題材にした浮世絵、版画などを展示する「絵画の中の海苔づくり」展が、大田区の「大森 海苔のふるさと館」で開かれている。 (原尚子)

 東京湾に面した大森は質の高い「浅草海苔」の養殖で知られ、高度成長期の埋め立て計画のため一九六二年に漁業権を放棄するまで盛んに行われた。海苔作りは江戸の風物詩で、人々になじみのある題材として多くの芸術作品に取り上げられた。

 会場には、海での海苔作りから海苔抄(す)き・海苔乾しなど製造過程、販売まで一連の流れを一枚に描いた三代歌川広重「大日本物産図絵 武蔵国浅草海苔製図」(一八七七年)を展示。料亭の建具部分に海苔作りのこま絵が入った歌川芳幾「春色三十六会席 海苔乾し」(明治初期)などの浮世絵、海苔採り用の船が浮かぶ地元の風景を描いた川瀬巴水「森ケ崎雪後之夕」(一九三二年)など、海苔作りをさまざまな角度からとらえた二十点(複製)が飾られている。

 同館の三好周平さんは「大森の海苔作りは、多くの人が芸術の題材に選ぶほど注目された存在だったということの歴史的意義を感じ取ってもらえれば」。群馬県富岡市から訪れた姉崎智子さん(44)は「美人絵にまで記されているのが面白いですね」と話していた。

 十月十四日まで。無料。第三月曜休館(祝日の場合は翌日)。

漁師の話をまとめた「聞き書き 最後の海苔漁師たち」

◆漁師の暮らしの記録本

 同館では、約60年前まで東京湾で海苔の養殖を行っていた漁師らの話をまとめた「聞き書き 最後の海苔漁師たち」(NPO法人「海苔のふるさと会」発行)を販売している。10代で独り立ちして苦労したことや、つらい作業の間にもクリスマスなどの行事を楽しんだこと、漁業権放棄をやむなく受け入れた日の記憶など、海苔作りとともにあった暮らしの記録が収められている。1500円。問い合わせは同館=電03(5471)0333=へ。

 

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