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<東京人>東京縄文散歩 尾久にあった「水産加工場」

東京

2018年7月15日

北区飛鳥山博物館内の「縄文人のくらし」ブースには、標本などさまざまの実物が常設展示されている

 現在の尾久車両センターのあたりに位置する中里貝塚は、明治より研究されていますが、近年、新しい発見がありました。調査にあたった北区飛鳥山博物館学芸員の中島広顕(ひろあき)さんにご寄稿いただきました。

 JR王子駅南口からすぐのところに、花見で有名な飛鳥山公園が、その先には北区飛鳥山博物館があります。縄文時代中期ころ、このあたりの低地には海が広がり、台地のすぐ下に砂浜が続き、浜辺に中里貝塚(国史跡)がありました。

 一九八三年、東北新幹線上野乗入れ工事に伴う中里遺跡の発掘調査で、縄文海進ピーク時の波打ち際を裏付ける海食崖や、砂浜から縄文時代中期初頭の丸木舟(都指定有形文化財)、後・晩期の埋没林などが次々と発見されました。丸木舟は、全長は約五・八メートル、船べりは深くてわん曲し、カヌー状の船体は類例を見ません。これに乗ってどこまで行けたのか、想像がたくましくなります。

 大きなトピックスは、一九九六年夏に出土した、厚さ四・五メートルにも達する貝層と、マガキを蒸し上げて貝肉を取り出す処理施設で、いわば縄文時代の巨大な「水産加工場」と言えるでしょう。

 今はない中里遺跡の痕跡は、北区飛鳥山博物館で見ることができます。丸木舟や貴重な実物が、多数常設展示されています。特に、約四・五メートルある巨大な中里貝塚の貝層剥ぎ取り標本は、ぜひその前に立ち、スケールの大きさを体感していただきたいです。 (「東京人」編集部・牧紀子)

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