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<東京人>東京縄文散歩 多摩丘陵に眠る記憶の欠片

東京

2018年7月8日

都立埋蔵文化財調査センターに隣接する遺跡庭園「縄文の村」。縄文時代の植生を再現した森が広がる=多摩市で

 東京郊外に広がる多摩丘陵。ここでは高度経済成長期、多摩ニュータウンをはじめとした大規模な都市開発が行われ、実に九百六十四カ所もの縄文遺跡が発見されました。古来、豊かな森と水に囲まれたこの場所で、「丘陵人=おかびと」と呼ばれた縄文人たちはどんな暮らしをしていたのか。縄文好きで知られる俳優の片桐仁さんと、多摩・町田地区の縄文遺跡を歩きました。

 眼下に団地が広がる丘の上にある「本町田遺跡」。ここでは縄文時代と弥生時代の集落が同じ場所で発見され、遺跡公園として整備されました。発掘跡の真上に、縄文・弥生時代の住居各一棟を復元。その内部から、時代の変化を見てとることができます。

 多摩ニュータウン地域で発掘された遺物を展示する「東京都立埋蔵文化財調査センター」は、縄文土器に実際に触れられる展示室や体験コーナーが人気。自由に見えて実は、厳密なルールにのっとって作られている縄文土器。その魅力を体感できます。

 最寄り駅から徒歩約五分。日本で最も駅に近い、縄文のストーンサークルが「田端環状積石(つみいし)遺構」です。眺望がよく、冬至には蛭ケ岳山頂に沈む夕日を拝みながら祭祀(さいし)が行われたと考えられています。

 縄文文化は、いまを生きる私たちの価値観を「あっさり覆すような刺激に満ちている」と片桐さんは語ります。豊かな自然のなかで創意を凝らし、目に見えないものを信じて生きていた人びと。その記憶の欠片(かけら)が、今もこの丘陵をたどると見えてきます。 (「東京人」編集部・矢部智子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、8月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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