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「自閉の画家」色鮮やかなタッチ 福岡の太田さん 世田谷で40点展示

東京

2018年6月23日

新作を集めた個展を開催中の自閉症の画家太田宏介さんと母愛子さん=世田谷区の成城さくらさくギャラリーで

 知的障害を伴う自閉症の画家太田宏介さん(37)=福岡県太宰府市=の絵画展が、世田谷区成城二の「成城さくらさくギャラリー」で開かれている。障害を隠さず「自閉の画家」を名乗ることで共感を集め、障害者やその家族も多く来場している。七月一日まで、入場無料。 (蜘手美鶴)

 太田さんは三人きょうだいの末っ子で、二歳で自閉症と診断された。絵を始めたのは十歳で、通っていた造形教室で色に興味を持ったのがきっかけ。線一本を描くのに半年、物を見て描くのに三年かかったが、絵を描いているときは短い間だが集中でき、奇声を上げたり、動き回ったりすることもなくなったという。

 作品は、鮮やかな色づかいと大胆な構図が特徴だ。新作など約四十点を展示、オレンジで縁取られたペンギンや羽ばたくインコ、花瓶からあふれるように咲く花などが描かれている。動物園を訪れて描いたキリンの親子は、体が赤く縁取られ、背景が青、黄など色彩豊かに表現されている。

 太田さんのマネジメントをする兄信介さん(43)は「個展を開くことで、本人の自信になっている。称賛されると作品がどんどんよくなり、三年ほど前から人物も描くようになった」と成長を喜ぶ。太田さんは「絵を描くのは好きです。いっぱい見てもらえるとうれしいです」と話していた。

 展示は午前十一時〜午後七時(日曜は午後六時、最終日は午後四時まで)、二十五日は休み。問い合わせは同ギャラリー=電03(5727)3133=へ。

母愛子さん(左)が講演する横で、即興で絵を描く太田宏介さん

◆「親は可能性広げて」太田さん母講演

 絵画展では、母愛子さん(69)が家族の向き合い方などについて講演、かたわらで太田さんが即興で絵を描くのが恒例だ。17日、ギャラリーに約50人が詰め掛けた。愛子さんが太田さんの幼少期を話し始めると、太田さんは観衆を気にも留めず、一心にキャンバスに筆を走らせた。

 黒い太線で三角形を一つ描き、さらにもう一つ。線を描き足しネコの耳を描き始めた。黒線だけでしま模様のネコを2匹描くと、しま模様の部分を鮮やかな黄色と緑がかった黄土色で交互に塗った。45分ほどで完成。会場からは歓声と拍手が起きた。

 愛子さんは「子どもに障害があっても未来への希望や可能性を見てほしい。なるべく外の世界に出して可能性を広げてあげるのが大切」と訴えた。講演を聴いたダウン症の娘を持つ横浜市青葉区の手塚まゆみさん(56)は「娘ができることはないか可能性を模索したい」と話した。

 

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