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「アリの街」を上演 演劇、ダンス、歌…「若い世代に訴える」

東京

2018年6月18日

本番に向けて稽古する出演者=台東区で

 台東区の隅田川西岸に戦後の一時期存在した生活共同体「アリの街」。そこに暮らした人々を生き生きと描いた舞台「アリの街のマリアとゼノさん」が二十三、二十四日、浅草九劇(台東区浅草二)で上演される。「若い世代に訴えるステージに」と脚本を書いた岩浦さちさん(28)。演劇とダンス、歌を組み合わせ、エンターテインメント性の高い人間ドラマを目指している。 

 地域の歴史を掘り起こそうと、街に関する写真資料展を昨年七月と今年一月に開いた実行委員会などが主催。実行委で広報担当の岩浦さんは、台東区を拠点に活動する演劇ユニット「自由の翼」を主宰している。「舞台は入り込みやすい。街のことを、まず知ってもらいたい」と、ユニットでの舞台化を企画。三十代を中心に、比較的若い役者が参集した。

 舞台は「全ての人への愛」を心に、献身的に奉仕活動をした「アリの街のマリア」こと北原怜子(さとこ)さん、ポーランド人のゼノ修道士ら、街に生きた人物を「再現」。北原さんは二十八歳で病死している。肉体は滅んでも、人は誰かの道しるべとなる−。岩浦さんは脚本にこんなテーマを込め、それを鮮明にするため、オリジナルのキャラクターも登場させる。

 北原さんを主人公にした街の物語は、一九五八年に「蟻(あり)の街のマリア」として映画化(松竹、千之赫(かく)子主演)されている。過去には、舞台になったケースもある。

 再び生きた作品として街が表現される状況に、実行委の北畠哲行(ひろゆき)代表(78)=台東区東上野=は「若い感覚で、アリの街を伝えてもらえて頼もしい。末永く活動してもらえると思っている」と期待している。

 千頭和直輝さん演出。二十三日は午後一時(完売)、同六時、二十四日は同一時(残席わずか)、同五時に開演。前売り二千円、当日二千五百円。浅草九劇は、浅草寺の西側、ひさご通り沿い。問い合わせは、北畠さん=電03(3831)2030=へ。 (井上幸一)

  言問橋の北側、堤防沿いの公園に、戦災で家族や家を失った人たちが1950年に形成した集落。小屋を建て、廃品回収を生業にして暮らした。アリのように勤勉に働き、助け合って生活していた。公園を管理する都から立ち退きを求められ、60年に江東区の埋め立て地に移転。88年に役割を終えて解散した。

 

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