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<東京人>没後70年 太宰治 生前の姿を知る証言者

東京

2018年6月3日

贔屓(ひいき)にしていた、三鷹の鰻(うなぎ)屋「若松屋」の前に立つ太宰治=小滝穆撮影、林聖子提供

 今年は、三鷹に住んでいた作家の太宰治が、愛人の山崎富栄と玉川上水に入水してから七十年です。そのショッキングな亡くなり方もあって、没後すぐに太宰ブームが起こり、その後、二回のブームを繰り返しました。最近のブームは、生誕百年を迎えた二〇〇九年。芥川賞作家で芸人の又吉直樹さんが太宰好きを公言し、それまでの「太宰=暗い」というイメージが、「太宰=明るい」に変わりました。

 東京人七月号では、明るくて、ユーモアがあって、少しおっちょこちょいでもあった太宰の一面に、太宰が遺(のこ)した学生時代の落書き帳や短篇(たんぺん)作品などから迫ります。なかでも、生前の太宰を知る数少ない証言者で、短編「メリイクリスマス」のモデルでもある、新宿五丁目のバー「風紋」の女主人林聖子さんと作家堀江敏幸さんとの対談では、身体性を伴う太宰の姿が浮かび上がってきます。

 堀江さんが、「文学者が残したさまざまな太宰治像があるが、こんなふうにひと掴(つか)みで何かを捉える言葉にはなかなか出会えない」と言うように、林さんの太宰へのまなざしと言葉には特別なものがあります。

「煙草(たばこ)を持つ長くてきれいな指」「つんのめるような歩き方」「すり減った下駄(げた)の歯」「透明感のない漆喰(しっくい)のような白い足」−−。

 対談を読んでから太宰作品を再読すると、かつてとは読後感が変わるかと思います。今こそ太宰作品を読んでみてください。 (「東京人」副編集長・田中紀子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、7月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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