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<私が語る浮世絵モダーン>バルジャン 魂の叫び発火 俳優・別所哲也

東京

2018年5月11日

山村耕花(豊成)《梨園の華十三世守田勘彌のジャン・バルジャン》1921年町田市立国際版画美術館蔵

 ビクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」は、子供のころに読まれた方も多いだろう。たった一つのパンを盗んだ罪で地獄のような牢獄(ろうごく)暮らしを虐げられ人間不信の末、神の存在を否定し心を閉ざした主人公ジャン・バルジャン。私は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」でこのジャン・バルジャンを演じた。

 山村耕花の作品は、バルジャンの心に渦巻く漆黒の闇を図柄全体に叩きつけ、怒りを湛(たた)えた眼光を際立たせる。世界を敵視する獣の形相。選び抜かれたであろう髪や唇、瞳を縁どる刺したる赫(あか)色は、泥棒犬の人生から本当は抜け出したい彼の魂の叫びとして発火する。ミュージカルでこの場面は爆発的なエネルギーで冒頭に演じられるのだが、私自身バルジャンを演じた時のあの鼓動が、この作品に漲(みなぎ)るパワーで蘇(よみがえ)った。

 「浮世絵モダーン 深水の美人!巴水の風景!そして…」(東京新聞など主催)は、町田市立国際版画美術館で6月17日まで開催。会期中、展示替えあり。問い合わせは町田市イベントダイヤル=(電)042(724)5656=へ。

 

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