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<私が語る浮世絵モダーン> “既視感”のある懐かしさ コラムニスト泉麻人

東京

2018年5月9日

川瀬巴水《東京二十景馬込の月》1930年町田市立国際版画美術館蔵

 町田市立国際版画美術館(町田市)で「浮世絵モダーン 深水の美人!巴水の風景!そして…」(東京新聞など主催)が開催されている。本展の出品作品の中から三点を、各界で活躍する著名人に解説してもらった。

 川瀬巴水が描く東京とその周辺の風景画にはなんともいえない懐かしさがある。もっとも氏の作品の多くは大正時代から昭和の初め頃にかけてのものだから、昭和三十年代生まれの僕の知らない時代の景色なのだけど、いつかどこかで見たような“既視感”があるのだ。

 とりわけ僕が好きなのは都心部よりもちょっと寂れた郊外を舞台にした作品。たとえば「馬込の月」(昭和五年)は当時“文士村”が形成されつつあった大森・馬込の田園風景を描いたもので巴水もその領域に暮らしていたという。

 ちなみに、月の傍らの立派な松は俗に“三本松”と呼ばれて親しまれていたが、戦時に空襲の目印にされるのをおそれて伐採されたと聞く。いまも馬込駅近くの環七通りに三本松の名を残した陸橋やバス停が存在する。

 本展は6月17日まで開催。会期中、展示替えあり。問い合わせは町田市イベントダイヤル=(電)042(724)5656=へ。

 

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