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<ひと ゆめ みらい>デニムで着物を身近に 呉服店「田巻屋」社長・田巻雄太郎さん(45)

東京

2018年4月23日

「デニム着物を通して観光客に日本の文化を伝えたい」と語る田巻屋社長の田巻雄太郎さん=江東区で

 地下鉄・清澄白河駅から徒歩数分の深川資料館通り。一九二四(大正十三)年創業の老舗呉服店「田巻屋」で三代目社長を務める。江戸三大祭りに数えられる富岡八幡宮例大祭の祭り用品や宝石を販売することでも知られる。

 大学卒業後は宝石販売会社に勤務し、営業で各地を駆け回った。家業を継ぎ社長に就任したのは二〇一六年。だが、「これまで着物を着てくれた人たちでもたんすの肥やしにしている。放っておけば目を向けてもらえなくなる」。厳しい現実に直面した。

 「着物文化は残していきたい」との思いを強める一方で、新たな客層の開拓に迫られた。そこで目を付けたのが、欧米人にもなじみ深いデニム生地を使った着物。「デニムなら丈夫だし、洗濯も簡単だ。着物に対するハードルが下げられるのでは」と考えた。

 価格面にもメリットがある。通常の着物は一式そろえると十数万円はかかるが、デニムなら一万円前後に抑えられる。周囲の反対を押し切り、取引先の呉服店に発注。一六年、清澄白河発のデニム着物の販売をスタートさせた。

 デニム着物は毎日着られるよう、薄めの生地でしつらえた。自らもデザインを考案。色落ちさせて着古したような風合いを出したり、ひざや腕などにあえてダメージ加工を施したり。カジュアルに装える着物を狙った。

 インターネット通販も始めると、地方から買い求める人も出てきた。「コートみたいにまとえる」「スニーカーにも合わせられる」。着物の新たな着こなしを楽しんでいる。そんな反応があった。

 「三十〜四十代を中心に千着以上を売ることができた。自由に着こなせるというスタイルが受け入れられたのでは」と手応えを感じる。

 反響の大きさもあって、昨年一月には、おもてなし心あふれる日本の商品やサービスをたたえるプロジェクト「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)2017」も受賞した。

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックで都内最多の競技会場を抱える江東区では、今後も観光客の増加が見込まれている。「清澄白河は東京の庶民の歴史や暮らしが感じられる街。そのベースにある着物文化を多くの人に知ってもらいたい」 (神野光伸)

      ◇

 田巻屋の本店の住所は、江東区三好2の13の3。同区北砂5の1の29には砂町銀座店もある。デニム着物は税込みで8800〜1万2800円。紺と黒の2色展開で、ダメージ加工の有無など3種類ずつそろえる。問い合わせは、田巻屋=電03(3641)5298=へ。

 

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