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<東京人>ビル散歩 シブさ光る まちの拠点

東京

2018年4月22日

2017年秋、中央区日本橋浜町にリノベーションで生まれ変わった「HAMA1961」(中央)

 自分が生まれた年代と同じである高度経済成長期、そしてその前後にできた東京都心のビルが、築五十年前後を経てほどよい歴史的風合いの感じられる「シブいビル」になっていることに気づいたのはごく最近のことでした。

 その中には、ル・コルビュジエ作の上野の国立西洋美術館のように世界遺産に指定されるものも、丹下健三や前川國男のように巨匠建築家の作品も。しかし、今まで見過ごしていた誰が設計したかもわからないような無名ビルも、よく見ると同種のシブい魅力を放っていたりするのです。

 六四年の東京オリンピック前後に建ったそれらのビルは、二〇二〇年東京五輪に向けての再開発の対象とされることも多いようです。銀座のソニービル、大手町の旧日本興業銀行本店ビルなど名作とされる建物も次々に解体され、この時代のビルが絶滅危惧種となる危険性が高くなっています。

 一方で、築五十年前後のビルをリノベーション(改築)し、“まちづくり”の拠点として活用するプロジェクトも進められています。江戸からの歴史のある町・日本橋浜町の一画では、安田不動産が築五十六年の二階建てビルを改築した「HAMA1961」に、パリ発のおしゃれな文房具店が入居。地域の人々が愛着を持てる場所として親しまれているようです。

 このように「シブいビル」が建物の歴史をさらに重ねていく例で、その魅力がより多くの人に理解され、活用されていく可能性を感じました。 (鈴木伸子)

 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、5月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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