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<ひと ゆめ みらい> スポーツで地域豊かに NPO法人「地域総合スポーツ倶楽部ピボットフット」理事長・桑田健秀さん

東京

2018年4月16日

チアリーディングチームVICKIESのメンバーとNPO法人ピボットフットの桑田健秀理事長(後列中央)=大田区立大森第十中学校で

 「東京五輪・パラリンピックに向けてではなく、その後レガシーをどう生かすかが大事」

 公共施設などハード面の「遺産」ではなく、ソフトであるトップアスリートを五輪後にどう地域で活躍させるか、について語り始めると止まらない。「育成してもらった選手たちは地域に恩返しをしないと。社会責任としてね」。自身が元オリンピアンだからこその思いがある。

 中学でバスケを始め、日本鋼管(NKK、現JFE)では一九〇センチの長身ガードとして活躍、一九七六年のモントリオール五輪に出場した。三十歳で現役引退後もJBL(バスケットボール日本リーグ機構)の理事などを務め、バスケのプロ化にも奔走したが、バブル崩壊後に実業団が次々に廃部になるなど競技環境が悪化する事態に直面。地域でクラブ化を進めなければ競技人口がなくなるという危機感を抱き、五十歳でNPO法人を立ち上げた。

 子どもに技術を教えたい一心で、生徒八人のバスケ教室からスタートしたNPOだが、現在はテニスなど十三種類、教室は年間千七百回の規模に拡大。地元の女子バスケチーム「エバラヴィッキーズ」(現・Wリーグ東京羽田ヴィッキーズ)の応援団として誕生したチアリーディングは、一五年に米国の大会に参加を果たした。元五輪選手が指導するかけっこ教室や障害者向け運動会など、地域に根差した活動を続けている。

 バスケ用語からとった団体名でもある「軸足」を置くのは、一流選手を地域につなげ、学校の部活動や地域クラブで本物の技術を子どもたちに伝えること。セカンドキャリア(引退後の人生)の受け皿作りも大切だ。「高い技術は商品なのに、それで食べていけるようなインフラができていない」。選手が地元企業に所属しながら部活やクラブで指導し、生活していけるシステムが理想という。

 昨年十二月、理事の一人として一般社団法人「おおたスポーツコミッション」を設立。行政と企業、地域をつなぐ「横ぐし」の役割を担う。「オリパラのような大舞台でなくても、シュートが入ったり、チアの技が成功したり、日常の小さな積み重ねにスポーツの感動がある。仲間と苦労した経験が気持ちを強くし、人間の幅を広げる」。プロもアマも、健常者も障害者も、みんなが地域で輝けるよう、やりたいことがたくさんある。 (原尚子)

<NPO法人ピボットフット> バスケ、テニス、チアや高齢者向け体操など約600人が所属するスポーツ教室のほか、学校の授業や部活への講師派遣、お祭りや運動会など地域イベントへの出演も行う。問い合わせは=電03(3776)5113=へ。

 

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