XMenu

<ひと ゆめ みらい> ワールドピースゲームプロジェクト代表・谷口真里佳さん

東京

2018年3月12日

「ワールドピースゲーム」で使うタワーを示す谷口さん=仙台市で

 主な対象である小学四年生の平均的な身長、一五〇センチの高さのタワー。谷口真里佳さん(29)がプロジェクト日本代表を務める「ワールドピースゲーム」で使う「世界」だ。四つの階層に分かれたタワーは下から、海底、海面・地上、空、宇宙を表す。リアルさを求め、子どもの目線から宇宙は見えない。

 世界の課題を解決するシミュレーションゲーム。三十人前後の子どもが仮想の国や国際連合、世界銀行、武器商人などのチームに分かれ、計十五〜二十時間かけ、難民問題など、決められた数の課題に臨む。自国の主張や相手との交渉を繰り返し、軍の出動時にはタワーにその駒を並べる。視覚的に世界の状況を把握しながら、進めていく。

 制限時間内にすべての課題を解決し、国の資産を初めより増加させればゴール。ただ途中に紛争など突発事案も登場、到達は難しい。

 谷口さんは同ゲーム発祥の米国で認定を受けたファシリテーター(進行役)。日本には数人しかいない。役割は、子どもたちの自主性を尊重しながら、所有資産から払える行為か、理にかなった選択か、行為の影響を考えているかを問い掛けることだ。

 ファシリテーターはゲーム開始時、「こんなに課題だらけの世界でごめんなさい」と謝る。問われるのは大人が考え続けても答えが出ていない課題。「答えを教えない、教えられないからこそ面白い」

 谷口さんがこのゲームを知ったのは二〇一五年春。開発者のジョン・ハンター氏のプレゼンテーション映像を見て、日本でもやりたいと思った。同年八月、米国で講習を受け認定ファシリテーターとなり、日本で実施をするプロジェクトを立ち上げた。

 国際平和に関心を抱いた高校生の時から「実現には次世代への教育が必要だ」と考えた。広告営業や英会話学校の講師、ニュージーランドの小学校でのボランティアなどで、語学力、企画力を磨いた。現在は都内の教育専門の政策会社に勤めながら、ゲームの普及に尽力する。

 一、二月に実施した仙台市の中学校が国内開催十カ所目。参加する子どもたちが初めは自分の利益を考え争っていても、次第に空から軍用機が消え平和条約が結ばれ、地上に工場が並んでいくとうれしい。「十年、二十年後、本当に世界の課題を解決する人材になってくれたら」と思っている。 (神谷円香)

<ワールドピースゲーム> 1978年、米国バージニア州の小学校教諭だったジョン・ハンター氏が授業で考案。ドキュメンタリー映画やTEDプレゼンテーション出演などで話題になった。現在はNPOが世界各地に普及させている。日本の活動はウェブサイト「ワールドピースゲーム・プロジェクト」で検索が可能。

 

この記事を印刷する