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簿記 無償で教え70年 94歳・墨田の安沢さん意気軒高

東京

2018年3月8日

教壇から受講生に語りかける安沢さん=墨田区で

 商工業者が多い墨田区で簿記をボランティアで教えている「厩(うまや)橋簿記講習会」が、発足から七十年目を迎えた。一貫して講師を務めているのが、安沢直次(なおじ)さん(94)=同区本所=で、商店主らおよそ七千八百人が実務を身に付け、ここから巣立っていった。現在、節目の「七十回生」を募集している。 (井上幸一)

 戦前、開成高校(荒川区)の教員だった安沢さんは、戦後の一九四九年、製材業の傍ら、自宅で実務簿記、そろばん、書道の私塾を始めた。近くに住んでいた少年時代の王貞治さん(77)=ソフトバンクホークス会長=にも、そろばんを教えたという。

 六二年に、今の名に改称、簿記の伝授に専念した。現在は毎週木、金曜の午後七〜九時に、中ノ郷信用組合(同区東駒形四)で開講。三十〜八十代の男女約三十人が都内はもちろん、神奈川、埼玉県からも通ってくる。

 「自ら学ぼうと思って来るのだから、生徒の真剣さは七十年変わらない。しっかり教えようという私の気持ちも変わりようがない」と意気軒高な安沢さん。人間教育にも重きを置き、「履物はきちんとそろえて脱がないとダメだ」と、礼儀の基本から説く。

 六月には浅草ビューホテル(台東区西浅草三)で七十年の記念祝賀会が催される。「よく続いているよ」と、安沢さんは温和な表情でほほ笑むが、授業となると、厳しく、緊張感が漂う。

 講習会OBで運営を手伝う会社社長、小川良雄さん(63)=江戸川区=は「今でも、『帰れ!』と言われる受講生もいる。先生も必死、生徒も必死」と打ち明ける。

 本年度の講習会は今月で終了。新年度は四月五日からで、受講生を募集中。講習費は無料だが、教材・運営費は月二千円必要。問い合わせ、申し込みは安沢さん=電03(3622)5774、または小川さん=03(3680)4306=へ。

 

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