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<ひと ゆめ みらい> 都市農業のあり方提案 イチジク栽培農家・舩木翔平さん(30)

東京

2018年3月5日

イチジクの新たな苗木を確認する舩木さん=八王子市で

 「『東京いちじく』を、東京を代表するお土産品にしたい」と、八王子市南部の小比企(こびき)町で昨年からイチジクの栽培を始めた。軽トラックがやっと通れる細い道の先にある畑。傾斜があり不整形だが、そんな土地でも収穫できる。「荒れ地でも不便な場所でも畑にできるモデルケースになれば」。都市部での農業の新しいあり方を提案したいという思いも秘めている。

 「都内ではあまり栽培されず、遊休農地を活用できる作物はないか」と調べ、たどり着いたのがイチジクだった。昨年は千平方メートルの畑に七品種五十本を植え、採れた実は砂糖で煮るなど商品化に向けて検討も重ねた。「イチジクを栽培しています」と話すと、女性からは「毎日食べています」、飲食店からは「食材として使いたい」などと、好反応もある。

 実家は市内の工務店。東京農業大で林業などを学んだ。建設業界への就職も考えたが、大学四年の時に参加した地元の農業体験イベントが転機になった。子どもたちがサツマイモを掘りながらわいわいがやがや。そんな様子に引かれた。学んできた農業で「まちづくりや街の活性化に関わりたい」と決意した。

 二〇一〇年の大学卒業間際、市役所に「農業がしたい」と相談するところから始めた。市内の農家で二年ほど研修してから農地を借り、これまでにホウレンソウやニンジンなど百種類ほどの野菜をつくり、販売や農業体験イベントを企画する会社を仲間と設立。さまざまな経験を積み、今後はイチジクを前面に出していくという。

 二月下旬、フェイスブックで知り合った市内のイチジク栽培の愛好家から譲り受けた二十品種三十本の苗木を新たに植えた。三年ほど育った木で、今秋には十分な収穫が期待できる。

 収穫したイチジクは、乾燥させたりワイン漬けにしたりして、パンやケーキ、料理に使ってもらうよう市内の店舗に働き掛けるという。葉や枝もイチジクの甘い香りがするといい、葉は蒸し焼き、枝は薫製の材料として研究も続ける。

 ゆくゆくは、都内全域にイチジクを栽培する仲間を増やし生産者、加工業者、飲食店との連携で「東京いちじく」ブランドを育てる夢がある。「隣の畑で作られた『東京いちじく』ですって、みんなが親しみを込めて手土産にできるように育てたい」。日常にイチジクがあり、人とのつながりでブランドを育てる、そんな形を作るのが目標だ。 (萩原誠)

 <イチジク> クワ科の落葉樹木で、実は夏から秋にかけて収穫される。西アジア周辺が原産とされ、日本では、愛知県や和歌山県などで多く生産されている。舩木さんの活動は「東京いちじく」のホームページやフェイスブックで発信している。

 

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