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戦火逃れた昭和初期のひな飾り 4日まで文京・旧安田邸

東京

2018年2月28日

「建物と一緒に、当時のままのひな飾りを楽しんで」と話す仰木ひろみさん=文京区で

 文京区千駄木にある築九十九年の近代和風建築「旧安田楠雄邸庭園」できょう二十八日から、桃の節句に合わせたひな人形の公開が始まる。戦火もくぐり抜けた名家のひな飾りが観賞できる。

 飾られているのは、旧安田財閥創始者の孫、安田楠雄氏の長女美佐子さんの七段飾りと、次女香名子さんの内裏びな。姉妹の初節句のため一九三二(昭和七)年と四一(同十六)年に、中央区日本橋の名工「三代目永徳斎」がそれぞれあつらえた。

 精巧な細工が特徴の「生き人形」を得意とした三代目ならではの技と、品のある面ざしが特徴。「残月の間」にある二畳の床の間に合わせて段がはめこまれ、黒漆(くろうるし)に金蒔絵(まきえ)が施された重箱や象牙の箸など、豪華な小物も見どころだ。人形は全て一体ずつ桐(きり)箱に収められており、全て飾り付けるのに十人がかりで二時間かかったという。

 旧安田楠雄邸は一九一九(大正八)年に実業家の藤田好三郎氏が建てた木造二階建ての日本家屋。最後の持ち主となった楠雄氏が九五年に死去した後、夫人が建物と庭園を公益財団法人日本ナショナルトラストに寄贈した。現在、NPO法人「たてもの応援団」が管理している。

 毎年公開しているが、今年九月から耐震補強工事で一年間閉館するため、今年は貴重な機会となる。周辺一帯は太平洋戦争末期に空襲を受けており、「たてもの応援団」の仰木ひろみさんは「戦火をくぐり抜け、一そろい残っているのは奇跡。建物と合わせて見てほしい」と話す。期間中、撮影用に女児用の着物も用意する。

 展示は三月四日まで。午前十時半〜午後四時(入館は同三時まで)。一般五百円、中高生二百円、小学生以下無料。畳の保護のため靴下を着用。問い合わせは旧安田邸=電03(3822)2699=へ。 (原尚子)

 

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