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<ひと ゆめ みらい> 全国で絵本を読み聞かせ・坂口慶さん

東京

2018年2月12日

絵本の読み聞かせの面白さを子どもや保護者に伝える坂口慶さん=板橋区で

 「どんな色〜が好き?」。絵本をめくりながら笑顔で問い掛けると、お母さんやお父さんの膝の上に座った子どもたちが、「あか〜っ」「あおーっ」と元気な声で返答する。

 一月最後の土曜。板橋区の保育園での公演には、ゼロ〜二歳児とそのきょうだい、保護者ら八十人が集まった。二十分間の読み聞かせ公演が二回。計十冊の絵本を読み聞かせ、保護者に絵本の作家を紹介した。

 「赤ちゃんには音遊びの絵本がおすすめです。唇と唇をくっつけて出す『ぱぴぷぺぽ』や『まみむめも』の音を面白がります」などと選書もアドバイスした。ウクレレを弾きながら歌や手遊びを交え、子どもたちも飽きさせない。

 「聞かせ屋。けいたろう」と名乗り、公演を行うようになって十一年。都内を中心に全国各地を巡り、現在は年間百七十回ほど公演している。持っている約七百冊の絵本から二十冊を会場に持ち込み、目の前の子どもたちの表情を見ながら読み聞かせる本を選ぶ。「漫画や小説と違って、絵本は絵をしっかり味わうために人に読んでもらう『読み聞かせ』が一番良い」と話す。

 高校卒業後、歌手に憧れて専門学校に進んだが、保育士に方向転換。二〇〇五年から二年間通った短大の保育学科で絵本の魅力に気付いた。ある先生が授業の冒頭にいつも、絵本を一冊読み聞かせてくれ「大人が聞いても懐かしいだけでなく、楽しかった」。〇六年秋からは週に一〜二回、都内の駅周辺の路上で読み聞かせを試みた。誰も見向きもしない日もあったが、涙を流して聞き入る人もいた。「絵本は人と人をつなぐ貴重な橋渡し役だ」と感じた。

 口コミで徐々にうわさが広がり、非常勤で保育士として働きながら、幼稚園や図書館などで公演を依頼されるようになった。保護者や保育者に絵本の持ち方やページのめくり方を指導し、読み聞かせを勧める。

 近年、スマートフォンを使って一人で無料動画サイト「You Tube」ばかりを見ている幼児を目にする機会が増えてきた。自身も二歳の娘を持ち、子育ての大変さは承知しているが「人は人との関わりが一番大切。コミュニケーション能力が不足してしまわないか」と心配な気持ちにもなる。「公演を通して、子どもが絵本を求め、両親が楽しく読んであげようとする関係を世の中に増やしていきたい」 (山田雄之)

 著作に、絵本や読み聞かせ法を紹介したガイド本「絵本カルボナーラ〜おいしい絵本を召し上がれ〜」、絵本「どうぶつしんちょうそくてい」と「どうぶつたいじゅうそくてい」。6月に新たな絵本を出版。公演予定はhttp://kikaseya.jp/で。

 

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