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線路脇の金魚見納め!? 耐震工事で「鑑賞池」撤去へ JR田端駅

東京

2018年2月1日

JR田端駅の線路脇にある「鑑賞池」=北区で

 北区のJR田端駅の線路脇に、金魚が泳ぐ小さな人工の池がある。初めて見る人は「なぜこんな場所に」と思ってしまうが、「鑑賞池」と名付けられ、国鉄時代から乗客に親しまれてきた。だが、すぐそばの古い石垣の工事が始まるのに伴い、池は壊され、金魚は見納めとなる可能性が出てきた。

 田端駅の京浜東北線が走る一番線沿いには石垣があり、池は、線路と石垣との間の狭い場所にある。JR東日本によると、幅約二百四十センチ、奥行き約百センチ、高さ約四十センチのコンクリート製。多くの電車が走る騒々しい中で現在、金魚六匹が悠然と泳ぐ。

 石垣の工事は耐震が目的だ。のり面に穴を開け、セメントや鉄筋を入れ補強する。池に何らかの影響が出る恐れがあり、JR東は、少なくとも工事終了まで金魚を別の場所に移すことを決めた。その後どうするかは未定だが、池自体をなくす可能性もあるという。

 そもそも池はなぜ、いつからあるのか。一九七〇年ごろ、駅員だった小林滉(ひろし)さん(85)=埼玉県鴻巣市=が、高い石垣の下が暗く、少しでも明るくしようと自費で作ったことにさかのぼる。

 当初は池にコイを放し、隣に築山を作って、ヒメシャガやサイハイランといった草花を植え、風情を醸し出した。養鯉(ようり)業で有名な新潟県の山古志村(現長岡市)のニシキゴイを入れたこともあったが盗まれたという。

 「子どもや高齢者が喜んでいる姿を見てうれしかった」と小林さん。「近寄って電車に接触しないか心配だった」とも振り返り、耐震工事については「やむを得ない。安全が第一」と語る。

 現在の池は、小林さんが手掛けたものとは異なるという。JR東によると、池の変遷に関する記録はなく、今の金魚がいつから生息しているかも不明だ。えさは与えておらず、池の藻を食べているとみられる。

 工事中の引っ越し先は、近くのJR施設内にある池。コイが泳いでおり、社員が毎日えさをやっているという。JR東の広報担当者は「金魚にとっては今よりも環境は良くなる」と話す。

 

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