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<ひと ゆめ みらい>意欲育てる「お母さん」 「子ども村」代表・大村みさ子さん

東京

2018年1月29日

子どもたちと笑顔で話す大村みさ子さん=荒川区の「中高生ホッとステーション」で

 今月中旬のある夜。荒川区内のビルの一室で開かれた「子ども村 中高生ホッとステーション」に、小学生から高校生の十五人が集まった。カレーライスを食卓で食べ、カードゲームや受験勉強で自由に過ごす子どもたちの中を行ったり、来たり。

 「何の部活してるの?」「バイトはどう?」と、次々に話し掛ける。中学三年の男子(15)は「つまずいたら手を差し伸べてくれる、もう一人のお母さんみたい」とにっこり。

 子どもたちと密接に関わり始めたのは、静岡県の高校で英語の教師をしていたころ。思い立つと、どこへでも走り出してしまう性分。学校を休みがちの生徒には家庭訪問し、暴走族と一緒にいると知ると現場で待ち伏せした。

 夫の転勤で教師を辞めるも、二〇〇七年から五年間、荒川区立小学校で発達障害児らを手助けする「特別支援教育支援員」を務めた。ピアノと英語教室を開いていた自宅に、気になる子どもたちも呼び、学習支援もするように。「一人では支援に限りがある」と、一二年からは区の学習支援事業で指導を始めた。

 ただ、事業に来るのは学習意欲がある子どもばかり。意欲を持てずにいる子どもたちにも寄り添う必要を感じ、一緒にスタッフをしていた仲間と子ども村を一四年五月に設立した。

 子ども村では大学生やフリーター、近所のおじさん、おばさんなど、十〜七十代の十五人がスタッフを務める。当初は目を合わせようともしなかった不登校気味の男子中学生は、スタッフに修学旅行代わりの旅行に連れていかれ、今では声を出して笑うように。勉強を教えてもらったお兄さんに憧れ、人の気持ちを理解し、周囲に感謝できるようになった子もいる。孤立していた子どもも、いろんな人に囲まれて自分自身を語るようになってきた。

 いじめや貧困など、子どもたちを取り巻く課題はさまざまある。子ども村などの団体や行政が連携する「あらかわ子ども応援ネットワーク」でも代表を務め、子どもの孤立防止に取り組む。「思春期は自分の生き方を見つける大切な時期。見守られている感覚がないと、転ぶのが怖くて前に進めず、希望を持てないことも。いろんな年齢の人が地域で長く関わり合う『疑似家族』を作っていきたい」。そう、子どもたちに寄り添い続ける。 (中村真暁)

 「子ども村 中高生ホッとステーション」は、荒川区東尾久6。毎週木曜午後5時から、スタッフと子どもたちが一緒に過ごし、食事や学習、生活支援を行う。参加費は1回子ども100円、大人300円。定期テスト前の学習会や地域行事でのボランティア活動も行う。問い合わせは「あらかわ子ども応援ネットワーク」ホームページから。

 

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