XMenu

犬と人 喜び分かち合い

東京

2018年1月6日

樺太犬のブロンズ像をなでる村石幸彦さん=立川市の南極・北極科学館で

 十二支のなかでも昔から人間とのかかわりが深かった犬(戌(いぬ))。喜びも悲しみも分かち合ってきた犬たちの話題を、都内で取材した。

◆立川の極地研 南極での活躍伝え

 日本の南極観測の歴史や最新情報を紹介する国立極地研究所(極地研、立川市)の南極・北極科学館。建物の近くに、むくむくと大きな十五頭の犬のブロンズ像がある。初期の南極観測に貢献した樺太犬たちだ。元は東京タワーの下にあったが、二〇一三年に今の場所に移され、当時の活躍を来館者に伝えている。

 北海道で飼われていた樺太犬は、寒さに強く人間に従順。一九五六年に出発した第一次南極観測隊は、拠点の昭和基地から調査地点への移動用の犬ぞりを引く樺太犬二十二頭を連れて行った。雪上車もあったが、第一次越冬観測ではほとんどの調査旅行に犬ぞりが使われ、計約千六百キロを走ったという。

 その後、第二次隊が悪天候で越冬を断念し、かろうじて連れ出せた母子犬以外の十五頭が無人の昭和基地に取り残されたこと、一年後に訪れた第三次隊員が奇跡的に生き残った兄弟犬タロ、ジロと再会したことは、映画やドラマでも広く知られている。

 再会後もしばらく南極にとどまったタロ、ジロを知る第四次越冬隊員の村石幸彦さん(82)は「タロはおっとりしていて、ジロはやんちゃ。基地での犬はペットであり、友達であり、共に働く仲間だった。像を見ると思い出すよ」と懐かしむ。

 像は五九年、タロ、ジロ生存の報を受けて日本動物愛護協会が東京タワー下に設置した。タワー周辺の整備事業で撤去されることになり、協会が極地研に寄贈した。タロ、ジロは来館者の人気の的。今ではすっかり記念撮影スポットだ。国分寺市から何度も写真を撮りに来ているという女性(71)は「犬たちの礎があって、今の研究があるんですね。ここに来て、像も落ち着いたみたい」と目を細めた。 (林朋実)

「お客さん、来ないかなー」。通りを眺める荒井紗乃ちゃんと「ウニ」=世田谷区で

◆世田谷の「ウニ」 クリーニング店の「看板」

 世田谷区の商店街「ハッピーロード尾山台」にあるクリーニング店の前を通り掛かると、レジカウンターにぽつんと犬が。思わず二度見。もしかして…店番?

 雑種の「ウニ」はもともと山梨県の山中にいた保護犬。「スタークリーニング」を経営する荒井太樹さん(47)、幸子(さちこ)さん(38)夫婦が飼い主募集サイトで見つけ、約5年前に引き取った。最初は人におびえていたが徐々に慣れ、自動ドアが開くと幸子さんより先にカウンターに出たり、そこから通りを眺めたり。「注意しても勝手に『出勤』しちゃうんです」

 思い切って「温かく見守って」と張り紙を出すと、だんだんウニに会いに来るお客さんが増えたという。そんなウニの一番の仲良しは長女の紗乃(すずの)ちゃん(4つ)。カウンターに仲良く並ぶ姿に道行く人が頬を緩めていた。

 

この記事を印刷する