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<ひと ゆめ みらい> 食通じてつながりを 「社員食堂ラボラトリー」代表・宮地洋さん(31)=中央区

東京

2017年12月25日

食を通じた場所づくりを語る「社員食堂ラボ」代表の宮地洋さん=中央区で

 点在する空きビルや倉庫に目を付け、活動拠点にする人たちが増え続ける中央区・日本橋の問屋街。築五十年近くの古ビル(地下一階地上六階)を改修し、そこに事務所を構える人たちが共有できるキッチンとして二〇一一年に誕生したのが、「社員食堂Lab.(ラボラトリー)」だ。

 約八十平方メートルのスペースには調理器具をそろえたキッチンと大きなテーブルが備わり、集まった人たちが一緒に調理した食事を家族のように楽しむ。「世代も業種も関係なく、誰もが気軽に話題にできるのが食。人と人が互いに向き合ってつながる場所になればいい」。ラボ設立に関わり、今年四月に代表に就いた。

 もともと食へのこだわりがあったわけではない。大学院を出てから勤務したのは都内の建築事務所。だが、多忙な毎日の胃袋を満たすのは、ラーメンに牛丼…。「東京にはたくさんの食べ物があるのに、本当に必要な物は食べられていない」。偏った食生活で蓄積していく疲労が、食を見直すきっかけとなった。

 ラボの名前に「社員」を入れたのは、働く人たちの日常の食を考える場を作りたかったから。同じビルで働く人だけでなく、近隣の住民や仕事帰りの会社員も集まる。地方在住者が地元の食材を広める場として利用することもある。

 昨年九月には「おとな食堂」と銘打ち、大人向けの食育プログラムをスタートさせた。材料に使うのは、食事で不足しがちな野菜が中心。参加者はそれぞれ調理したい野菜を持ち寄り、スタッフの栄養士のアドバイスを受けながら、何を作るのかを決める。出来上がるのは、野菜たっぷりのスープにサラダなど。どれも栄養満点だ。

 「子どもたちに栄養のある食を薦める立場の大人の多くが、実は食についての知識に乏しい。とはいえ、働いている大人はやはり忙しい。だからこそ、野菜を使った栄養のある食事を簡単に、おいしく調理できることを楽しく学んでもらえれば」

 来年二月には近くの浅草橋駅(台東区)に、「食」を題材に新たな活動をしたい人たちが集える拠点「基地キッチン(仮称)」をオープンさせる。「そこに行けばいつも面白い人と出会えて、食を通じた新たなつながりが生まれる。そんな場所を作っていきたい」。「フードコミュニケーション」を掲げ、新たな食の楽しみ方を広げていくつもりだ。(神野光伸)

 社員食堂ラボは、中央区日本橋大伝馬町13の1の「Creative Hub131」3階。「おとな食堂」は予約制で毎月第2土曜日の午後4〜10時に開催。参加費1000円。食事会、イベントなどでも有料で利用できる。問い合わせは、Eメール=info@shineshokudo.com

 

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