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フリーペーパー「いのきちさん」終了へ 井の頭愛貫き6年

東京

2017年12月9日

発行してきた「いのきちさん」を手にする編集長の川井信良さん=三鷹市で

 都立井の頭恩賜公園(三鷹市、武蔵野市)の開園百周年に合わせ、二〇一一年十一月から隔月発行されてきたフリーペーパー「いのきちさん」が、この冬の第三十七号で終了する。公園の歴史や自然、ゆかりの人物などをテーマに読み物や写真を掲載し、百周年を盛り上げてきた。読者からは惜しむ声も上がっている。 (鈴木貴彦)

 「いのきちさん」は、井の頭の「いの」と吉祥寺の「きち」、それに三鷹の「み」を「さん」と読み替えて名付けた。発案者は編集長の川井信良(しんすけ)さん(67)。三鷹市の出版印刷会社「文伸」の社長だ。「公園とその周辺を包含するイメージの語呂合わせ」と川井さん。「会社の創業五十周年記念事業として発行し、今年五月の百周年までのカウントダウン企画だったのが、少し延びて…」と笑う。

 縦一九・五センチ、横九・五センチのリーフレットを開くと全十三ページ。表紙は毎号、百数十字の短い読み物「連載絵本」を掲載。タヌキや水鳥など公園の自然を題材にした物語で、かわいらしいイラストが目を引く。公園近くに住む主婦瀬能けい子さん(68)が文章を、娘の絵本作家さちこさん(42)が絵を担当。けい子さんは「毎回悩みながら、公園の自然に触発されて何とか続けられました」と振り返る。

 ほかにも歴史をつづった「井の頭恩賜公園の歩み」や、ゆかりの人たちによるエッセー「私と井の頭公園」、かいぼりなど水質浄化の取り組みを紹介する「よみがえれ!井の頭池」、井の頭自然文化園の飼育係による「今月のはな子」など、十種類前後の連載で構成する充実ぶりだ。

 平均六千部を発行し、吉祥寺駅や三鷹、武蔵野両市内の公共施設、居酒屋や中華料理店など百カ所以上に置いた。「うちでも置くよ、と言ってくれる方が増えて」と川井さん。最終号は全号の企画内容を一覧表で紹介し、ライターや写真家らのあいさつも載せた。

 川井さんは「『続けてほしい』という声も多数いただいた。私自身さびしい気もするが、愛する井の頭公園の魅力を伝え、かけがえのない自然を再認識してもらうという当初の目的は果たせた。ここらで一区切りです」と話している。

 

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