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<東京人>永井荷風−愛すべき散歩者 ゲームきっかけ女性ファン

東京

2017年11月26日

雑司ケ谷霊園(豊島区)にある永井荷風の墓。「文アル」の影響か、墓参する若い人たちの姿も見られる

 徹底した個人主義を貫き、花柳界を舞台とした作品を書いたこともあって、永井荷風が好きだという女性は少数派でした。ところが、最近は「偏屈なところがカワイイ」という若い女性も増えているようです。

 荷風のイメージは「いろんなところに家を持っている外ネコという感じですかね(笑)。行動範囲が決まっているところとか、他人に煩わされずに自由に生きたいところとか。こだわりや意志の強さを持っているのが好きです」と話すのは、余市さん(仮名、一九九一年生)。彼女と会ったのは、荷風も作品で描いた向島の「鳩(はと)の街」にある古書店「右左見(うさみ)堂」でした。

 荷風を読み始めたきっかけは、六十万人以上のユーザーがいるというゲーム「文豪とアルケミスト」。二〇一六年十一月にリリースされた「文アル」には、PC版とスマートフォン版があって、基本は無料でプレーできます。もうひとつの日本に転生した近代日本の文豪たちが敵と戦うというストーリーです。このゲームには夏目漱石、芥川龍之介、太宰治をはじめ、徳田秋声、中野重治、小林多喜二らも登場するのです。

 「実際の荷風はどうだったのか気になって、作品を読むようになりました。最初に読んだのは『ふらんす物語』。モーパッサンが好きなので、荷風がモーパッサンの石像の前に立つ場面に共感しました」。これからもっと多くの荷風作品を読みたいという余市さん。作家との出会いは、いろんなところに転がっているものですね。 (南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ))

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部から、原則毎週日曜日に都内各地の情報をお届けします。

 詳しくは、「東京人」12月号88ページ「若い世代は荷風をどう読んでいるか 南陀楼綾繁」で。

 【12月号主な内容】快楽を肯定するひかげの女たち 川本三郎▽武士道と少女道 持田叙子▽荷風の背中を追いかけて、『断腸亭日乗』を歩く 壬生篤▽エッセイ 林文子、大竹昭子、岩下尚史

 問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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