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品格、着やすさ心掛け 独創的な帯結びを考案 葛飾の鈴木さん「現代の名工」

東京

2017年11月12日

「現代の名工」に選ばれた衣装着付師の鈴木則子さん=葛飾区で

 厚生労働省が卓越した技能を持つ技術者を表彰する「現代の名工」。二〇一七年度は百四十九人が選ばれた。独創的な帯結びを考案し、後進の指導にも熱心に取り組んできた葛飾区の衣装着付師、鈴木則子さん(79)も名工の栄誉に輝いた。

 一本の長い帯を素早くたたみながらつまむ。そのまま振り袖を着る女性の背中で結び、きれいな花の形ができあがった。ひだを整えると、左右のバランスもぴたりと合う。一連の作業はよどみない。

 独創的な帯結びなど高い技能が認められ「現代の名工」に選ばれた。「着物は技術者の顔が見えるほど、着付け次第でいろいろな形になる。品格を失わずに楽に着やすいよう心掛けている」と話す。

 小さい頃から美容師になりたいと思っていた。葛飾区で今の場所に店を構えたのは専門学校を出て美容師になったばかりだった二十歳の時。当時の自分を「向こう見ずだよね」と笑うが、母親は「若いんだから失敗してもやり直せばいい」と背中を押してくれた。

 店を切り盛りする傍ら、着付けを独学で学んだ。三十代後半からは着物の原点となる十二単(ひとえ)など古典衣装を研究して探求を深め、成人式や七五三の着付けで幅広い要望に応えられるようになった。

 「私がここまで来られたのは先輩や先生の指導のおかげ」と後進の育成にも熱心で、専門学校の非常勤講師も務める。昨年からは葛飾区内の児童養護施設の子どもたちに七五三を経験させてあげたいと、衣装会社と協力してボランティアで着付けもしている。

 ある時、店の客から「毎日毎日同じ仕事で飽きないか」と聞かれた。「手仕事は、そのたびに仕上がりが違うので飽きないよ」と笑って答えた。長生きして人の役に立つ仕事をずっと続けたい。それが今の目標だ。

 

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