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太宰と芙美子の交流 三鷹の太宰治文学サロンで企画展

東京

2017年10月29日

林芙美子「放浪記」の直筆原稿=三鷹市下連雀で

 三鷹で暮らした作家・太宰治と、新宿・落合に自宅のあった作家・林芙美子をテーマにした企画展「太宰と芙美子」が、三鷹市下連雀の同市太宰治文学サロンで開かれている。新宿区立林芙美子記念館とともに企画した。双方の貴重な資料から、二人の交流をたどる内容となっている。 (鈴木貴彦)

 芙美子(一九〇三〜五一年)はベストセラー「放浪記」や「浮雲」で知られる人気作家。作家として後輩にあたる太宰(一九〇九〜四八年)は、足しげく芙美子の邸宅を訪れ、文学や美術談議に花を咲かせ、芙美子の家族とも親しくしていたという。

 太宰の晩年の代表作「ヴィヨンの妻」は、芙美子が装丁とさし絵を手掛けた。二人の交遊の産物であることが、芙美子の回想などから明らかになっている。また、太宰は小説「眉山(びざん)」で、作中人物の男性洋画家に「林芙美子」の名を冠している。同サロン学芸員の吉永麻美さんは「文壇の大先輩の名前を作中で用いる大胆さに、太宰のユーモアと芙美子への親しみが感じられる」と解説する。

 太宰の死後、芙美子はすぐに三鷹の自宅を弔問に訪れている。文芸誌の座談会で芙美子は、「私小説」を開花させた太宰の功績をたたえ、「いい作家を死なせた」とあくまで太宰を擁護したという。

 企画展では「放浪記」や「ヴィヨンの妻」などの直筆原稿(複製)や初版本、芙美子が油彩で描いた「自画像」など十六点を展示。吉永さんは「心を許した先輩後輩、姉と甘えん坊の弟のような間柄だったのでは。そんな心の交流を感じていただければ」と話している。

 企画展は来年二月二十五日まで。三月六日からは記念館で同様の展示が始まる。文学サロンは月曜休館。入場無料。問い合わせは同サロン=電0422(26)9150=へ。

 

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