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<マンガ家たちの東京物語> (6)水木しげる(調布)

東京

2017年10月5日

天神通り商店街にあるゲゲゲの鬼太郎像=調布市で(中野晴行さん撮影)

 東京都心と多摩地区を結ぶ京王線の調布駅から北に二分ばかり歩くと「天神通り商店街」がある。平安時代に創建され、室町時代に現地に移された多摩地区有数の古社・布多天神社の表参道だ。

 昭和の香りが残る通りのそこここには水木しげるの代表作「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪たちのモニュメントが並び、「調布の水木しげるロード」と呼ぶファンも多い。

 関西で街頭紙芝居の絵描きなどをしていた水木が、衰退する紙芝居に見切りをつけて上京したのは、一九五七年。江東区亀戸に下宿して貸本向けのマンガを描き始め、翌年、単行本「ロケットマン」でデビューしたときには三十五歳も終わろうとしていた。古家を買って調布市に移り住んだのは五九年。九十三歳で亡くなるまでこの街に暮らした。

 「ゲゲゲの鬼太郎」の原型となる「墓場鬼太郎シリーズ おかしな奴」(六四年、佐藤プロ)の冒頭には、布田天神裏のみすぼらしい小屋に<怪奇事件専門解決 「墓場鬼太郎」>の看板が出ている、という記述がある。布田天神のモデルが、布多天神社なのはいうまでもない。ここは鬼太郎にとってもホームグラウンドなのだ。

 天神様に参ってからバスで深大寺まで。天台宗の古刹(こさつ)で、水木夫人・布枝さんの自伝エッセー「ゲゲゲの女房」を原作にしたNHKドラマのロケ地にもなった。山門前には二〇〇三年オープンの「鬼太郎茶屋」がある。

 水木も鬼太郎も、調布市民には家族なのだ。(一部敬称略、中野晴行=マンガ研究家)=随時掲載

<水木しげる(1922〜2015年)> 鳥取県境港市出身。代表作に「悪魔くん」「のんのんばあとオレ」など。

<なかの・はるゆき> 1954年生まれ、大阪府出身。漫画の研究、編集などを手掛ける。京都精華大客員教授。

 

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