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稀勢、粘った土俵際 連日の逆転 初日から3連勝

スポーツ

2018年9月12日 朝刊

稀勢の里(奥)が突き落としで豊山を下す

◇大相撲秋場所<3日目>

 3横綱が初日から3連勝。8場所連続休場から復帰して進退を懸ける稀勢の里は平幕豊山を逆転の突き落としで下した。他の横綱は鶴竜が勢を突き落とし、白鵬は魁聖を下手投げで退けた。

 大関とりの関脇御嶽海は取り直しの末、小結玉鷲をはたき込んで3連勝とした。大関陣はかど番の栃ノ心が小結貴景勝の引き落としに屈し、初黒星。高安は千代大龍をはたき込んで3連勝し、豪栄道は関脇逸ノ城を押し出して2勝目を挙げた。

      ◇

 立ち合い、稀勢の里は今場所で一番の踏み込みを見せたが、豊山の手がついていなかったことで行司が待ったした。こういう場合、一気に気持ちが切れがちだが、横綱は「変わらず集中して」。2度目も力強く当たった。

 豊山の重たい突き押しに両手をあてがい、跳ね上げながらしのぐと、自らの左が入る。右も上手をつかみ、万全の態勢で寄るが寄り切れない。逆に頭を胸につけられると腰が浮き、押し込まれた。

 前日の貴景勝戦と同様、これまでなら、ここで足が運べずに黒星になっていたが、今場所は違う。休んでいる間に鍛えてきた下半身がよく動き、粘りもある。土俵際でこらえると、右から逆転の突き落とし。物言いがついたが、右足が残っており、軍配通りの白星となった。

 土俵下では、兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)が審判として見届けた。「ひやひやでしたけどね」とわがことのようにほっとした表情。そして続けた。「横綱相撲という感じではない。ただ、プライドを捨てても、泥くさく、必死な姿が稀勢の里の相撲。そこにみんな感動する」。その意味では、前日もこの日も、稀勢の里らしい相撲だった。

 同じく横綱として7場所連続で休場した経験のある貴乃花親方(元横綱)は、今場所の稀勢の里について「相撲人生を懸けて土俵に上がっている。やるしかないというのが、表情ににじみ出ている」と評す。そして「お客さんも(稀勢の里の苦境を)自分の人生に投影している」とみる。

 連日館内に響く大きな声援は、横綱の耳にも届いているはず。「またあした、しっかり集中してやりたい」。横綱らしい雄姿はまだ見せられなくても、一つ一つ白星をつかむことで、ファンの期待に応えていく。 (平松功嗣)

 

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