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大坂、四大大会V 日本勢初 憧れのセリーナ圧倒 全米オープンテニス

スポーツ

2018年9月10日 夕刊

女子シングルス決勝セリーナ・ウィリアムズからポイントを奪い、声を上げる大坂なおみ=8日、ニューヨークで(AP・共同)

 【ニューヨーク=石川智規】テニスの全米オープンは八日、当地で女子シングルス決勝を行い、大坂なおみ(20)=日清食品=が元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=を破って初優勝した。男女を通じ日本勢で初めて四大大会のシングルスを制覇する偉業。アジア勢初の全米制覇ともなった。優勝賞金三百八十万ドル(約四億二千百八十万円)を獲得した。 

 大坂はサーブとストロークが安定し、四大大会で二十三度優勝している女王を圧倒。第一、二セットを連取する完勝で、日本代表として出場する意向を示している二〇二〇年東京五輪へ、大きな期待を抱かせる結果となった。

 四大大会では、男子の錦織圭(28)=日清食品=が一四年の全米で準優勝したのが、これまでの日本勢の最高成績だった。女子では沢松和子、伊達公子が四大大会四強入りを果たしていた。大坂は十一度目の四大大会出場で、ベスト8進出も今大会が初めてだった。

 初優勝から一夜明けた九日、大坂は当地で恒例の記念撮影会に出席。白いワンピース姿で、優勝杯を手に愛らしい笑顔を振りまいていた。

感極まる大坂なおみ。右は声を掛けるセリーナ・ウィリアムズ=8日、ニューヨークで(ゲッティ・共同)

◆セリーナ「ブーイングやめて」

 強烈なサーブで優勝を決めると、帽子をそっと目深にし、静かにセリーナの元へ歩み寄った。幾度となく怒号や歓声が入り交じった全米オープン決勝。主審の判定に不満を抱くセリーナのファンからのブーイングが湧き起こる。だが大坂は「あなたと全米の決勝を戦うことが夢だった。ありがとう」とセリーナに感謝。新旧の女王は肩を並べて穏やかな笑みを浮かべた。

 会場は出産からの復帰後初のメジャータイトルを望むセリーナのファンであふれた。第2セット、セリーナは再三の警告を受けて1ゲームが大坂に与えられる。納得しない観客席からは、ブーイング。それでも大坂は心を乱すことなく、自らの強気なプレーを貫いて初優勝をたぐり寄せた。

 怒号が続く異例の表彰式。セリーナが「もうブーイングはやめて」と呼び掛け、大坂に寄り添って肩を抱く。大坂は「みんながセリーナを応援しているのは分かっていた。こんな終わり方になってごめんなさい」と涙ながらに語った。純粋で素直な物言いで親しまれるが、この日もわき出る複雑な感情を隠さなかった。

 かつて大坂は、体格や筋力に恵まれながら、劣勢でいらだつ気持ちをコントロールできなかったり、好不調の波があったりと、「精神面が課題」と言われ続けた。この日は一転、コートを包む空気をものともせず、集中力を保ってセリーナをしのぐ一打を重ねた。冷静さと、我慢強さが際立ち、成長した二十歳の姿は品格すら漂わせる。東京五輪へも、夢が膨らむ勝利となった。 (ニューヨーク・石川智規)

<おおさか・なおみ> 3歳から米国で育った。2013年に15歳でプロ転向。16年に四大大会デビューの全豪オープンで3回戦に進出するなど躍進し、女子ツアーを統括するWTAの最優秀新人賞に輝いた。今年3月にBNPパリバ・オープンでツアー大会初優勝。ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、姉のまりもテニス選手。日清食品。180センチ。20歳。大阪市出身。 (共同)

 

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