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<東京五輪への伝言>(下)五輪初採用種目の課題 大歓声で平常心保てるか

スポーツ

2018年9月7日 朝刊

女子組手50キロ級3位決定戦でネパール選手(右)と対戦する宮原美穂=ジャカルタで(潟沼義樹撮影)

 国際総合大会ならではの独特の空気を感じ取ったのだろう。「やりたい動きができなかった。初めて試合が怖いと思った」。空手の女子組手50キロ級の宮原美穂(帝京大)は言葉を振り絞った。

 日本代表を応援しようと鳴り物を使って鼓舞する観客たち。その視線と歓声が一斉に降り注いだ。2016年世界選手権など国際舞台の場数を踏んでいても「いつもと違う雰囲気。のみ込まれたと思った」。準決勝敗退から切り替えて3位決定戦で銅メダルを獲得したが、口をついたのは反省の弁ばかりだった。

 競技発祥国の東京五輪で初採用となる空手。林晃(はやし・こう)監督はアジア大会に向けて「五輪をイメージして戦うことができる。五輪につながるステップになる」と選手たちに話してきた。日本勢の出場8種目で4個の金メダル。最低限の目標は達成できたとした上で、「死に物狂いで覚悟を持ってやっているが、さらにまた頑張っていきたい」と気を引き締める。

 一方、今大会で初採用されたスケートボードの西川隆監督は「僕らだけでなく他の競技の人もたくさんいる。そういう意味ではいい経験ができた」と振り返る。団体行動での取り決めを守り、不慣れなドーピング検査に向け選手への意識付けを進めた。10代の有望株が持ち味を発揮。「パーク」と「ストリート」の男女計4種目のうち3種目で優勝した。

 ただ、結果は上出来であっても、準備不足の面も目立った。他国選手が着ていたTシャツは統一されていたが、日本の選手は別々のデザイン。もともと代表指定のウエアがなく、大会までに用意できなかった。

 五輪への機運は高まりつつあるとはいえ、米国、欧州などで行われるチャンピオンシップを優先する有力選手は多い。西川監督は「いずれ五輪が頂点になる可能性はあるが、今はあっちのほうが『山』」と認める。個人行動が中心の競技特性があるだけに、さらなる一体感を作り出すにはまだ時間がかかりそうだ。 =おわり

 (本紙取材団・森合正範、多園尚樹、佐藤航、磯部旭弘)

 

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