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不屈 復活へ一歩 大相撲

スポーツ

2018年7月26日 夕刊

名古屋場所千秋楽で極芯道(右)を破り、勝ち越した常幸龍。十両復帰が決まった=ドルフィンズアリーナで

◆常幸龍 けが乗り越え十両復帰

 日本相撲協会が25日に開いた秋場所(9月9日初日・両国国技館)の番付編成会議で、元小結常幸龍(木瀬部屋)の14場所ぶりの十両復帰が決まった。三役経験者が三段目転落後に十両へカムバックするのは明治以降初めて。けがに悩まされた苦労人は「迷惑をかけた人たちに恩返ししたい。ここからがスタートです」と感慨に浸った。

 日大から2011年5月の技量審査場所で初土俵を踏んだ29歳。序ノ口デビューから27連勝の最多記録を樹立し、14年秋場所に新小結となった。だが、15年初場所で右膝を痛め、16年6月に手術に踏み切った。2場所連続全休し、同年九州場所には西三段目23枚目まで転落。関取が締める稽古用の白まわしは捨てた。

 「『終わったな』と言う人もいた。でも社会には自分よりつらい思いをしている人は多くいる。けがをする前より強くなると決めた」と諦めなかった。なかなか幕下上位を抜け出せずにいたが、東幕下5枚目だった名古屋場所でついに努力は報われた。3勝3敗で迎えた7番相撲で勝利。2年ぶりの関取の座を確実にし「(緊張で)心臓が痛い」と涙をこらえた。14年1月に誕生した長男の心絆(しんば)ちゃんと、巡業で一緒に土俵入りをするために子供用の化粧まわしを用意したが、実現できないままだった。「早く土俵入りがしたい。次は幕内を目指す」と傷だらけの顔に笑みが広がる。今年2月には第2子の次男も誕生。関取として父親の強さを見せるのは、秋の土俵だ。

名古屋場所2日目、復帰戦を白星で飾った貴公俊。左は勝負審判の貴乃花親方

◆貴公俊 暴力の過ち 心身鍛える

 過ちを犯した21歳の若武者が出直しの一歩を踏み出した。新十両だった3月の春場所で付け人に暴力を振るった貴公俊(貴乃花部屋)。1場所出場停止処分が明けた名古屋場所で、西幕下49枚目の地位で復帰し、6勝1敗で終えた。土俵に上がって温かい拍手を浴び「変わらずに応援してくれる人がいる。全力で力を出し切っていきたい」と感謝を口にした。

 春場所8日目。出番の時間を伝え遅れた付け人に立腹し、暴行に及んだ。翌日から休場。師匠の貴乃花親方(元横綱)はこの問題もあり2階級降格処分を受けた。自身の未熟さに「申し訳ない思いでいっぱいだった」と後悔の念は消えない。

 普段の生活でちゃんこ番や掃除に励んだ。稽古も徹底的に四股を踏むことからやり直した。「勝敗の関係なく、人に喜んでもらえる相撲を取る」。ただ関取になることが目標だった以前の幕下時代と違う考えが芽生えてきた。師匠は「まだ修行の身。強い力士になってほしい」と心身のたくましさを求める。

 名古屋場所千秋楽。元横綱日馬富士の傷害事件の被害者で、自身が付け人を務めた貴ノ岩が十両優勝を決めた。貴公俊は、再入幕が確実な兄弟子が風呂場へ向かう背中をじっと見つめ「うれしい。恩返しのためには前に進むしかない」と決意。信頼回復には絶え間ない精進しかない。

 

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