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東京五輪 競泳は午前決勝 米テレビ優先の決着

スポーツ

2018年7月20日 朝刊

競泳の「午前決勝」について語る松田丈志さん=東京都内で

 【ローザンヌ(スイス)=共同】2020年東京五輪で競泳の決勝は午前に実施することで決着したことが19日、明らかになった。大会組織委員会や国際水泳連盟(FINA)は、日本国内での注目度などを踏まえて一般的な夕方から夜を要望していたが、米テレビ局が北米のゴールデンタイムでの放送に合わせて午前を希望。FINAがこの案に対し、18日の理事会で同意することを決めたと発表した。組織委も受け入れる姿勢を示した。

 今後、同じ会場で行うアーティスティックスイミングや飛び込みも含めて競技時間を詰め、日程を正式決定する見通し。組織委の武藤敏郎事務総長は「(組織委は)FINAの意向を尊重する立場」と述べた。

 競技時間の決定では、巨額の放送権料を支払う米テレビ局の意向が強く働くとされ、同じアジア開催の08年北京五輪でも競泳の決勝は午前に実施された。2月の平昌冬季五輪でも北米で人気があるフィギュアスケートは午前から行われた。東京でも選手は対応を迫られることになった。

 東京は18日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で競技日程の承認を得たが、水泳は調整が完了せず、唯一提案が見送られた。交渉を一任されていたIOCのコーツ調整委員長は「競泳は北米の競技人口が非常に多い」と理解を示した。

◆北京五輪銅・松田丈志さんに聞く 「シミュレーションが重要」

 競泳の「午前決勝」で選手に求められることは何だろうか。2004年アテネ大会から4大会連続で五輪に出場し、午前決勝だった北京大会の200メートルバタフライで銅メダルを獲得した松田丈志さん(34)に聞いた。 (聞き手・磯部旭弘)

 現場からすれば正直うれしいことではない。朝起きてすぐは体が動きづらく、体を温めてピークにもっていくことが大変。4回出場した五輪の中でも午前決勝の北京はやはりハードルが高かった。

 北京を振り返れば当初はみんな「本当かよ?」という感じがあった。でも、決まったからにはやらないといけない。

 準決勝のある種目だと(夜に予選、翌日の午前に準決勝、翌々日の午前に決勝の)3日間にわたるため、変則的なスケジュールになる。

 代表選考会を兼ねた4月の日本選手権後から五輪までの期間、午前中にハードなメニューや試合形式の練習をこなし、本番の流れを意識する生活にした。

 懸念されるのは、複数種目に出る選手たち。個人種目に加え、リレーも入り、連戦となる。午前に一度力を出し切った後、再び午後までにコンディションを合わせられるか。五輪のスケジュールがあまりにも非現実的であれば、国内選考の種目を絞るケースが出てくるだろう。

 ベストパフォーマンスを引き出すため、頭の中も実際の泳ぎの部分でも、いかにシミュレーションできるかが重要になる。今後は五輪までに国内大会で午前決勝を導入してみてはどうか。それが難しいのであれば、(午後に決勝がある)一般的な大会で選手は予選から全力を出す練習をしておく。変化に対応し、最大限の準備をすることが結果につながる。

 五輪という祭典を欧米など世界中に発信しなければならないが、仕方ないとは言いたくない。日本で見ているファンも当然ゴールデンタイムで決勝を見たいはず。日本人、外国人にかかわらず、午前決勝を良いと思っている選手はあまりいない。これではアスリートファーストにはなっていない。

 

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