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防衛白書「北、これまでにない脅威」 地上イージス推進狙いか

政治

2018年8月28日 夕刊

 小野寺五典(いつのり)防衛相は二十八日午前の閣議で、二〇一八年版防衛白書を報告した。北朝鮮が昨年八、九月に相次ぎ実施した日本上空を通過する弾道ミサイル発射や、六回目の核実験を「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と指摘し、危機感の表現を強めた。陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊とイラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題についても項目を設け、調査の経緯と再発防止策を紹介した。

 北朝鮮の脅威を強調するのは、米国から高額で購入する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入を進める狙いがあるとみられる。白書は、北朝鮮による昨年九月の核実験について、推定出力が広島に落とされた原爆の十倍となる百六十キロトンに上り「水爆実験」だった可能性を指摘。北朝鮮が昨年十一月に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、推定の射程が一万キロを超え、米国本土に届く可能性があるため「北朝鮮が米国に対する戦略的抑止力を確保したとの認識を、一方的に持つ可能性がある」との懸念を示した。

 一七年版の白書は、北朝鮮による昨年七月のICBM発射を「新たな段階の脅威」と位置付けたが、一八年版では「これまでにない」脅威という表現で、危機感をさらに強めた。

 一方、今年六月の米朝首脳会談の共同声明で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が朝鮮半島の完全な非核化に取り組む意思を示した点を、白書は「文書で明確に約束した意義は大きい」と評価。半面、北朝鮮が日本のほぼ全域を射程に収める中距離弾道ミサイルを数百発保有しているとして「北朝鮮の脅威についての基本的な認識に変わりはない」とも指摘し、評価と警戒が交錯する表現となった。

 中国を巡っては、沖縄県・尖閣諸島周辺を含む日本周辺の海空域で「行動を一方的にエスカレート」させていると指摘。今年一月に尖閣諸島周辺の接続水域で初めて中国潜水艦の潜没航行が確認された例などを挙げた。 (新開浩)

 

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