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消費増税、有識者会合開かず 来年10月予定通り10%か 安倍政権が方針明らかに

政治

2018年8月28日 朝刊

 安倍政権は来年十月に予定する消費税率10%への引き上げを巡り、増税の可否を判断するための有識者会合を開かない方針を決めた。政府関係者が明らかにした。これまでは法律で定められた増税時期の前年に国内外の経済・財政専門家らを集め景気の現状や先行きなどに関する意見を聴取。その意見も判断材料として、5%から8%への引き上げを予定通り実施する一方、10%への増税を二回にわたって延期していた。

 消費税率の引き上げ時期は当初、5%から8%が二〇一四年四月、8%から10%が一五年十月だった。安倍政権はそれぞれの前年夏から秋にかけて、経済学者や労使関係者らを招いた「集中点検会合」を開催。増税が景気に与える影響を検討し、10%への引き上げは一七年四月に先送りした。一六年三〜五月には、この年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けて開いた「国際金融経済分析会合」で議論。予定通りの実施を支持する声も出たが、景気悪化への懸念を理由に再延期を決めた。

 有識者会合の開催は法律で定められていない。安倍晋三首相は家計の負担増につながる消費税率引き上げに消極的とされ、有識者の意見を根拠に増税先送りの判断を正当化する狙いもあったとみられる。

 今回、有識者会合が開かれないことから、政府内には「消費税の増収分の使途変更も既に決めており、首相に増税を見送る選択肢はない」(経済官庁幹部)という見方が広がる。麻生太郎財務相は二十七日、予算の査定を行う財務省主計官への訓示で「(消費税増税を)今回は間違いなくやれる状況になってきている」と述べた。

◆アベノミクス検証機会失う

 安倍政権が消費税率10%への引き上げについて、有識者会合を開かない方針を決めたことで、各分野の専門家の視点でアベノミクスを検証する絶好の機会が失われてしまった。家計の負担増や景気の先行きに対する国民の不安が置き去りにされる懸念は拭えない。

 これまで三回の有識者会合には著名な学者や財界人だけでなく、中小企業の経営者、地方自治体の首長なども参加し、アベノミクスや景気についての考え方を表明した。結果として、増税を予定通り実施するかどうかの政策決定に対する影響力は限定的だったが、多様な声を直接、政権幹部に届けたことには意義があり、消費税に関する国民の理解を深めたのも確かだ。

 今回こうしたプロセスを踏まず、「法律で決まっているから」と予定通り増税することになれば、アベノミクスが新たな負担増に耐えられるだけの経済環境をつくり出したのかといった国民の疑問は宙に浮くことになる。消費税率引き上げという国民生活に大きくかかわる政策だからこそ、安倍晋三首相にはさまざまな立場の意見に耳を傾ける姿勢が求められる。 (生島章弘)

 

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