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<自民党総裁選 改憲の行方>(5)教育の充実 首相、維新取り込みへ重視

政治

2018年8月22日 朝刊

 安倍晋三首相が改憲を巡り、九条に加えて強調しているのが「教育の充実」だ。改憲発議には衆参両院で三分の二以上の賛成が必要だが、自民、公明の与党は参院でその数を確保していない。教育の充実のための改憲を重視している日本維新の会に目を付け、秋波を送っているとみられる。

 現行憲法には義務教育の無償化が明記されている。維新は、さらに大学を含めた「高等教育までの教育無償化」を憲法に盛り込むよう求めている。首相は昨年五月、「高等教育も全ての国民に開かれたものとしなければならない」と発言するなど、維新との連携を意識した発信を続けてきた。

 自民が今年三月にまとめた四項目の改憲条文案は、教育を受ける権利を定めた二六条に三項を設け、「教育環境の整備に努めなければならない」との国の義務を盛り込む一方、高等教育無償化は明記しなかった。実現するには数兆円規模の財源が必要とされ、自民党内から反対の声が相次いだためだ。

 維新は自民の案が努力規定にとどまり、無償化明記を見送ったことに反発。首相は今月十二日の講演で、改憲に意欲を示す中であらためて「教育無償化」という言葉を使い、なお維新との接点を探る姿勢を示した。今後、維新との協議次第で、条文案が修正される可能性もある。

 だが、教育環境を整備するのに改憲する必要があるのか、という疑問は根強い。野党からは「憲法ではなく法律で対応する問題」「財政措置で対応できる」との指摘が出ている。

 一方、石破茂元幹事長は、教育の充実のための改憲は緊急性や必要性が低いとの考えだ。「維新の賛成を得るために(教育の無償化が)必要との議論は本末転倒だ」と首相の姿勢も批判する。

 二〇一二年の自民党改憲草案で「教育環境の整備に努めなければならない」としているため、今の条文案は否定しないが「無償化」明記には反対の立場。明記した場合、大学に行かない人との公平性などを念頭に「違憲訴訟の対象になる」とも指摘する。

 野田聖子総務相は、今月発表した総裁選向けの政策で具体的に言及しなかった。 (川田篤志)

 =おわり

 

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