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「働き方」残業規制の前に仕事選別を 「女性活躍」男性の役割大きい

政治

2018年7月30日 朝刊

◆アメージャン 一橋大院教授に聞く

 今国会で成立した「働き方」関連法は一部専門職を対象に労働時間規制を外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」や残業時間の罰則付き上限規制が盛り込まれた。同関連法で労働環境は良くなるのか、働く人にとって望ましい労働環境とは何か。企業経営に詳しく、日本企業での「お茶くみ」経験もあるクリスティーナ・アメージャン一橋大大学院教授(組織社会学)に聞いた。 (柚木まり)

 −「働き方」関連法成立の評価は。

 「『働き方改革』という言葉は、五年前にはほとんど聞かれなかった。法の成立で働き方を議論しやすくなった」

 −罰則付き残業規制で、労働時間は減るだろうか。

 「一人一人の職務内容や業務の優先順位が明確でないのが、日本の企業文化だ。労働時間制限の前に、仕事の目標や成果を考えて必要な仕事を選別すれば、おのずと残業時間は減る」

 −日本企業に勤めた経験があり、複数企業で社外取締役を務めている。日本の労働慣行の問題は何か。

 「日本では『ほうれんそう』(報告、連絡、相談)が非常に重要だ。良い面もあるが、時間がかかり、過剰なコミュニケーションと言える。多くの人に話を通す必要があり、精神的負担も大きい。大人数の会議、一斉メールもどこまで必要か。与えられた仕事が終わるまで残業し、自分の許容量を超えていると言い出せない。中間管理職の能力が足りず、部下が意欲を持って気持ち良く仕事ができるよう調整できていない」

 −どうすれば「女性活躍」が実現するか。

 「男性の役割が大きい。私の人生の重要な場面で、助言してくれたのは男性だった。三菱重工の社外取締役の依頼を受けた時、『おじさん』たちは『いつでも力になる』と声を掛けてくれ、私に期待する項目をリストにして渡してくれた。女性だからではなく、個人の知識や経験に期待してくれた。なぜあなたが必要か、なぜ『働き方改革』が必要か。きちんと語れる人を増やすことが必要だ」

<クリスティーナ・アメージャン> 1959年生まれ。米国籍。組織行動と労使関係をテーマに、カリフォルニア大バークリー校博士号取得。81年、ハーバード大卒業後に来日し、英会話教師や三菱電機の事務職として約4年間勤務。2001年に一橋大大学院助教授、04年から現職。

 

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