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<核なき世界目指して> (1)条約署名こそ非核化の道

政治

2018年7月8日 朝刊

ICAN国際運営委員・川崎哲さん

 核兵器禁止条約が採択されて一年。今年六月に史上初の米朝首脳会談が実現したが、北朝鮮の非核化への道筋は明らかになっておらず、米ロ間の核軍縮も進んでいない。「核なき世界」の試金石とも言える北朝鮮の非核化を中心に、各界の関係者にインタビューする。初回は、同条約を推進した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲さんに聞いた。 (大杉はるか)

 −現状では条約に核保有国の参加は見込めない。

 「条約が発効すれば、未加入国も無視できない存在になる。締約国が増えるほど拘束力が強まる」

 −米朝首脳会談の際にシンガポール入りしたそうだが、どんな思いからか。

 「首脳会談に直接声を届けたかった。核兵器の被害を受ける市民社会(の代弁者)として首脳外交に参加する資格や責任があると思った」

 −米朝首脳は朝鮮半島の完全な非核化で合意したが、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は共同声明に盛り込まれなかった。

 「『核兵器は悪』という認識を決定的に欠いたまま、グレートディール(偉大な取引)と思ってやっている。(取引でなく)国際法に基づいて、朝鮮半島を完全非核化すべきだ。核兵器禁止条約こそCVID。韓国も北朝鮮も署名すればいい。核保有国の米国が禁止条約を嫌うなら『朝鮮半島非核化条約』でもいい」

 −米朝会談は北朝鮮の非核化と、体制保証を取引したようにも見える。

 「非核化も平和も必要。(しかし)平和を担保するために、一定量の核兵器に目をつぶるという議論がまかり通ることは警戒しなければいけない。核兵器付きの平和は長続きせず、大変危険だ。こうした考えとは決別しなくてはいけない」

 −日本政府は、北朝鮮の非核化で費用負担や技術支援を検討している。

 「現実的に非核化は北朝鮮だけではできない。日本は技術もお金も人もたくさん出した方がいい。それが日本の利益にもつながる。被爆国として、核兵器は悪だと口で言うだけでなく、プレーヤーになるべきだ」

 −朝鮮半島は最後に残った冷戦とも言われる。

 「東西冷戦が終わったとき、約六万発の核兵器が五年間で半分に減った。朝鮮半島で冷戦が終わるなら、核兵器を持つ理由がなくなる。そのとき、地域の人々が完全非核化という秩序でやっていこうと思えるかが重要だ。韓国も日本も核の傘を欲して、北朝鮮だけ核の傘がないというのはあり得ない。最終的には韓国、日本が(米国の核に頼らないと)腹をくくれるかどうかだ」

<かわさき・あきら> 1968年、東京都生まれ。東京大卒業後、平和活動を進めるNPO法人事務局長などを経て、2003年からピースボート共同代表。10年からICANの運営に携わる。

 

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