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<「働き方」どう変わる>(2)残業規制 月100時間未満、高い上限

政治

2018年7月7日 朝刊

 「働き方」関連法は、二〇一五年に大手広告代理店電通の社員だった高橋まつりさんが過労死した事件が社会問題化したことが、制定への後押しになった。柱の一つには、一九四七年の労働基準法制定以来初めてとなる残業時間の罰則付き上限規制が盛り込まれた。

 これまでは労使で合意すれば残業時間を上限なく設定できた。「働き方」関連法では、月四十五時間、年三百六十時間を原則とし、繁忙期でも年七百二十時間以内、月百時間未満、二〜六カ月平均八十時間以内とした。月四十五時間を超えられるのは年六回までとなる。違反した企業には六月以下の懲役または三十万円以下の罰金が科される。大企業は二〇一九年四月、中小企業は二〇年四月から施行される。

 上限規制は、長時間労働の是正に一歩前進だが、上限が高すぎることに批判もある。月百時間、二〜六カ月平均で八十時間は、過労死を認定する際の基準となる。法律でその水準を容認することで「過労死認定が難しくなる」との懸念が過労死遺族らから出ている。

 年七百二十時間の上限には、休日労働が含まれていない。これを含めると年九百六十時間の残業が可能になる点も指摘された。

 規制の適用が除外される業種が多いことも課題だ。過重労働が著しい建設、自動車運転(運輸)、医師は五年間、適用が猶予される。運輸は五年後も他業種より緩い年九百六十時間の上限規制となる。人手不足や業務の特殊性を踏まえた措置だが、過労死の多い業界が「働き方改革」から置き去りにされる不安は根強い。

 政府は残業時間規制の実効性を高めるため、全都道府県に「働き方改革推進支援センター」を設置し、中小企業などの取り組みを支援する。

 

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