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「フードドライブ」広がる 量販店参戦 余った食品寄付を

社会

2018年9月11日 夕刊

食品寄付の広がりに期待するフードバンクかわさきの高橋実生代表=川崎市多摩区のダイエー向ケ丘店で

 家庭で余った食品を持ち寄り、生活が苦しい家庭に寄付する「フードドライブ」の取り組みが広がっている。まだ食べられる食べ物が捨てられる「食品ロス」の深刻化を受け、地域のスーパーも市民団体と連携して参戦。年間六百万トン以上の食品がごみとして捨てられている現状を知ってほしいと訴えている。 (大平樹)

 「ご家庭に眠っている食品をお持ちください」。量販店大手のダイエーは八月二十日、川崎市多摩区の向ケ丘店に、買い物客に食品提供を呼び掛けるのぼり旗とコンテナボックスを設置した。受け付けるのは、未開封で賞味期限まで一カ月以上あり、常温保存できることなどが条件だ。レトルトや缶詰、乾麺や菓子を想定している。

 集めた食品や店の売れ残りを、主に神奈川県内で活動する「フードバンクかわさき」(川崎市多摩区)に提供。東京や神奈川の計十六店舗が同団体を通して、困窮家庭などに寄付している。一店舗あたり週に十キロほどになるというが、商品管理が進んだため店の売れ残りは少なく、同社の広報担当者は「多くはお客さまからの善意」と説明する。

 ダイエーはこうした取り組みを今年一月に関西地方で始め、店舗数は全国百七十五のうち埼玉や千葉など九都府県の百七店と提携するフードバンクは十団体になった。同社総務・お客さまサービス部の中山大輔リーダーは「どの店でも必ず食品ロスは出る。業界全体で取り組むべき問題でもある。余っている食品を寄付したいけど、どうしたらいいか分からないお客さまもいる。地元の店としてフードバンクに橋渡ししたい」と話す。

 農林水産省によると、全国の食品ロスは二〇一五年度で六百四十六万トンに上り、国民一人当たり一日にお茶わん一杯のご飯を捨てている計算になる。発生場所別では、一般家庭が二百八十九万トンで45%を占める。

 フードバンクかわさきの高橋実生代表(47)は「一つの家庭から寄せられる食品の量は少なくても、多くの種類が集まれば、困っている人に合わせて提供できる」とスーパーの参戦を歓迎する。食品の届け先には小さい子どもがいたり、アレルギーの人がいたりするだけでなく、食べ物の好みもあるからだ。店頭での呼び掛けの広がりに「貧困や食品ロスの問題に関心を向ける人が増えてほしい」と期待する。

<フードドライブ> 余っている食品を生活に困った人や福祉施設などに寄付する取り組み。米国で1960年代に盛んになり、日本でも近年、フードバンクなどの食料支援団体で取り組まれ、広がりを見せている。

 

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